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ブランドガイドラインの作り方|必要項目からVI運用ルールまで解説

ロゴやブランドカラーを決めても、制作物ごとに使い方が変わってしまうと、Webサイト、営業資料、広告、SNS、採用ツールなどでブランドの見え方にばらつきが生じます。こうした状態を避け、社内外で一貫した表現を運用するために作成するのがブランドガイドラインです。
ブランドガイドラインには、ロゴやカラーなどの視覚的なルールだけでなく、タイポグラフィ、写真・イラスト、文章表現、トーン&マナー、媒体ごとの適用方法、ブランドアセットの管理方法などを定める場合があります。
重要なのは、項目を多く設定することではありません。
「誰が、どの媒体で、どのような判断に迷うのか」を整理し、その判断基準を共有できる状態にすることがブランドガイドラインの役割です。
また、ブランドガイドラインは単なるデザイン資料ではなく、ブランド戦略やブランドアイデンティティを、実際の制作や運用へつなげるためのルールブックでもあります。
本記事では、ブランドガイドラインとは何か、VIマニュアルとの違い、盛り込むべき項目、具体的な作り方、社内外での運用方法まで解説します。最後には、自社でブランドガイドラインを作成するときに活用できるテンプレートの構成も紹介します。

ブランドガイドラインとは

ブランドガイドラインとは、企業や商品・サービスについて、一貫したブランド表現を維持するためのルールや判断基準を体系的にまとめた資料です。
対象となるのはロゴだけではありません。
たとえば、次のような内容を扱います。

  • ロゴ
  • ブランドカラー
  • タイポグラフィ
  • 写真・イラスト
  • アイコン
  • グラフィック
  • レイアウト
  • コピー・文章表現
  • トーン&マナー
  • Webサイトや営業資料など媒体ごとの表現
  • ブランドアセットの管理方法
  • ガイドラインの承認・更新方法

ブランドガイドラインを整備しておくことで、広報、マーケティング、営業、採用、デザインなど担当部門が異なっても、共通する基準をもとに制作物を判断しやすくなります。
Web制作会社や広告代理店、印刷会社などの外部パートナーへ制作を依頼する場合にも、ブランドガイドラインは認識をそろえるための基準になります。

ブランドアイデンティティを実務へ落とし込むためのルール

ブランドガイドラインを理解するときは、ブランドアイデンティティとの関係も整理しておきましょう。
ブランドアイデンティティ(Brand Identity)とは、「自分たちはどのようなブランドなのか」「誰にどのような価値を届けるのか」といった、企業やブランド側が定める方向性です。
ブランドガイドラインは、そのブランドアイデンティティを具体的な言葉やデザインへ反映し、日々の制作や運用で再現できる状態にするための基準です。
全体の関係は、次のように整理できます。
ブランド戦略

ブランドアイデンティティ

表現設計(VI・トーン・オブ・ボイスなど)

ブランドガイドライン

Webサイト・営業資料・広告などのブランド接点での展開・運用
つまり、ブランドガイドラインの中でブランド戦略やブランドアイデンティティを一から作るわけではありません。
上流で整理したブランドの方向性と表現方針を、「実際の制作や運用ではどのように判断するのか」まで具体化する役割を持っています。

ブランドガイドラインとVIマニュアルの違い

ブランドガイドラインと似た言葉として、VIマニュアル、CIマニュアル、ブランドブック、ロゴガイドラインなどがあります。
これらには、すべての企業に共通する厳密な区分があるわけではありません。企業や制作会社によって名称や掲載範囲は異なります。
一般的には、次のように整理すると理解しやすいでしょう。

資料 主に扱う内容
ブランドガイドライン ロゴ、カラー、フォント、写真、文章表現、媒体展開、運用ルールなど
VIマニュアル ロゴ、カラー、書体などビジュアルアイデンティティを中心としたルール
CIマニュアル 企業理念、社名表記、ロゴ、サインなどコーポレートアイデンティティに関するルール
ブランドブック ブランドの理念、価値観、ストーリー、世界観など
ロゴガイドライン ロゴのサイズ、余白、カラー、禁止事項など
スタイルガイド 文体、用語、表記方法など文章表現を中心としたルール

VIはビジュアルアイデンティティ(Visual Identity)の略で、ロゴやカラー、書体などの視覚表現を統一する仕組みです。
そのため、VIマニュアルが主に視覚表現を扱うのに対して、ブランドガイドラインは文章表現やブランド運用まで対象を広げるケースがあります。
重要なのは資料の名称ではありません。
「誰が、何を、どの場面で判断するための資料なのか」を先に決め、その目的に合わせて必要な項目を設定することが大切です。

ブランドガイドラインに盛り込むべき項目

ブランドガイドラインの作り方に、すべての企業へそのまま適用できる一つの正解があるわけではありません。
企業規模、ブランドの展開範囲、制作体制、使用媒体などによって、必要なルールは変わります。
ただし実務で利用することを考えると、ブランド基本情報、ロゴ、カラー、タイポグラフィ、運用ルールは基本的な項目として整理しておくとよいでしょう。
写真やイラスト、文章表現、媒体別ルールについては、自社のブランド接点に応じて追加します。

ブランド基本情報・ブランドアイデンティティ

最初に、ガイドラインの目的と対象範囲を明記します。
たとえば、次のような情報です。

  • ブランド名
  • ガイドラインの目的
  • 対象となる企業・事業・商品・サービス
  • 使用対象者
  • 発行日
  • バージョン
  • 管理部署・責任者
  • 問い合わせ先

必要に応じて、パーパス(Purpose)、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Values)、ブランドコンセプト、ブランドプロミス(Brand Promise)、ブランドパーソナリティ(Brand Personality)なども掲載します。
ただし、ブランドガイドラインの中で新しくブランド戦略を策定する必要はありません
上流工程ですでに整理されている内容の中から、なぜこの表現ルールになっているのかを理解するために必要な情報を掲載します。

ロゴ規定

ロゴ規定は、VIマニュアルやブランドガイドラインの中心となる項目です。
ロゴデータを渡すだけでなく、「どのような状態なら使用できるのか」まで明確にします。

ロゴのバリエーションを定義する

まず、正式に使用できるロゴを整理します。
たとえば、

  • 基本ロゴ
  • 横組み
  • 縦組み
  • シンボル単体
  • モノクロ版
  • 白抜き・反転版

などです。
複数のロゴがある場合は、それぞれについて使用できる媒体や背景条件を説明しておくと、担当者が判断しやすくなります。

クリアスペースを設定する

ロゴの周囲には、文字や画像などを配置しない保護領域であるクリアスペースを設定します。
たとえば「ロゴ内の特定要素の高さをXとし、上下左右にX以上の余白を確保する」といった形で、誰が使用しても再現できる基準にします。
単に「十分な余白を取る」と記載するより、具体的な基準がある方が運用しやすくなります。

最小使用サイズを決める

ロゴを小さくしすぎると、文字や細部が判別できなくなることがあります。
そのため、Webと印刷物それぞれで最小使用サイズを決めておく方法があります。
ただし、すべてのロゴに共通する最小サイズがあるわけではありません。
ロゴの形状や文字の細かさによって適切な数値は異なるため、実際の画面表示や印刷結果を確認し、自社ロゴに合わせて設定します。

ロゴの禁止例を示す

禁止事項は文章だけで説明するより、OK例とNG例を並べた方が理解しやすくなります。
たとえば、

  • 縦横比を変更する
  • 指定外の色へ変更する
  • 回転させる
  • 影や装飾を追加する
  • 一部分だけを変更する
  • 視認性の低い背景に配置する
  • 他の要素を近づけすぎる

といったケースです。
外部制作会社へガイドラインを共有する場合にも、禁止例があることで認識の違いを減らしやすくなります。

カラー規定

ブランドカラーは、色名だけではなく、具体的な数値と用途を設定します。
たとえば、

  • プライマリーカラー
  • セカンダリーカラー
  • アクセントカラー
  • 背景色
  • テキストカラー
  • ニュートラルカラー

などに分類します。
使用媒体に応じて、HEX、RGB、CMYK、必要に応じてPantoneなどの値も整理します。
さらに、「背景として使用する色」「CTAなど限定した箇所に使用する色」といった用途まで決めておくと、実際の制作物へ展開しやすくなります。

Webではアクセシビリティも考慮する

ブランドカラーをWebサイトやアプリで利用する場合は、ブランドらしさだけでなく、文字やUIの視認性にも配慮します。
WCAG 2.2のLevel AAでは、通常のテキストについて背景とのコントラスト比4.5:1以上、大きなテキストでは3:1以上が基準として示されています。また、ユーザーインターフェースコンポーネントや、内容を理解するために必要なグラフィックなどの視覚情報についても、隣接する色とのコントラスト比3:1以上が求められる場合があります。
そのため、「ブランドカラーだから」という理由だけで、すべての文字や背景、UIへ同じ色を使用するのが適切とは限りません。
Web用のブランドガイドラインでは、色そのものを指定するだけでなく、文字色と背景色など、使用可能な色の組み合わせまで示しておくと判断しやすくなります。

タイポグラフィ規定

タイポグラフィでは、使用するフォントだけではなく、用途も整理します。
たとえば、

  • 日本語書体
  • 欧文書体
  • 見出し用フォント
  • 本文用フォント
  • ウェイト
  • 文字サイズ
  • 行間
  • Webフォント
  • Office資料用の代替フォント

などです。
Webサイトでは指定したフォントが利用できない環境もあるため、代替フォントを用意しておくと運用しやすくなります。
また、有料フォントを指定する場合はライセンスにも注意が必要です。
自社がライセンスを保有していても、外部制作会社へフォントファイルをそのまま渡せるとは限りません。Web、印刷、PDF、動画など、利用できる範囲を確認したうえで運用方法を決めます。

写真・イラスト・アイコンの規定

ブランドの印象は、ロゴやカラーだけで決まるわけではありません。
写真であれば、

  • 被写体
  • 構図
  • 色調
  • 人物の表情
  • 背景
  • レタッチの程度

などを整理できます。
イラストやアイコンの場合も、

  • 線の太さ
  • 塗り方
  • 角丸
  • 色の使い方
  • ディテールの程度

などを決めておくと、媒体ごとのばらつきを抑えやすくなります。
「温かみのある写真を使う」「シンプルなイラストを使う」といった抽象的な表現だけでは、人によって判断が変わります。
推奨例と避けたい例を並べ、何がブランドらしく、何がブランドらしくないのかを視覚的に示すことが有効です。

言語表現・トーン・オブ・ボイス

ブランドの一貫性は、視覚表現だけでは成立しません。
Webサイト、広告、営業資料、採用コンテンツ、SNSなどで文章の雰囲気や言葉遣いが大きく異なると、顧客が受け取るブランドイメージにもばらつきが生じます。
そこで、ブランドガイドラインでは、トーン・オブ・ボイス(Tone of Voice)を整理する方法があります。
トーン・オブ・ボイスとは、ブランドとしてどのような語調や言葉遣いでコミュニケーションするのかを定める方針です。
たとえば、
専門的だが難解ではない
親しみやすいが軽すぎない
端的だが冷たい印象にはしない
といった方向性を設定します。
さらに、

  • 敬体・常体
  • 一人称・二人称
  • 商品・サービス名の正式表記
  • 専門用語の説明方法
  • 英数字の表記方法
  • 推奨する言葉
  • 避ける表現
  • CTAの文例
  • SNS投稿の文例
  • 見出しの文例

まで具体化すると、実際のコンテンツ制作で利用しやすくなります。

ブランドガイドラインの作り方|6つのSTEP

ブランドガイドラインは、いきなりPowerPointやPDFへルールを書き始めるのではなく、現在のブランド表現を確認しながら段階的に作成します。
ここでは、ブランドガイドラインの作り方を6つのステップで整理します。

STEP1. ブランド戦略・ブランドアイデンティティを確認する

最初に、ブランドの上位にある方向性を確認します。
たとえば、

  • パーパス
  • ミッション
  • ビジョン
  • バリュー
  • ブランドコンセプト
  • ブランドプロミス
  • ブランドパーソナリティ
  • ポジショニング

などです。
ここが曖昧な状態でロゴやカラーのルールだけを作っても、「なぜその表現なのか」を説明しにくくなります。
ブランドガイドラインは、ブランド戦略を新しく作る工程ではありません。すでに定義されている内容を確認し、制作や運用へつなげるための前提をそろえます。

STEP2. 既存のブランドアセットを棚卸しする

次に、現在使用しているブランドアセットを確認します。
ブランドアセットとは、ブランドを表現するために使用しているロゴ、写真、テンプレートなどの資産です。
具体的には、

  • ロゴデータ
  • ブランドカラー
  • フォント
  • 写真
  • イラスト
  • アイコン
  • Webサイト
  • 営業資料
  • 広告
  • SNS
  • 採用資料
  • PowerPointテンプレート

などを確認します。
部署ごとに異なるロゴが使われている、ブランドカラーに似た複数の色が存在する、古いPowerPointテンプレートが残っているといった状態がないかを整理します。

STEP3. 表現ルールを策定する

棚卸しした内容をもとに、必要なルールを決めます。
ロゴであれば使用可能なバリエーション、クリアスペース、最小サイズ、禁止例を設定します。
カラーであれば数値と用途、タイポグラフィであれば書体やウェイト、写真であれば構図や色調などを整理します。
また、文章表現まで統一する場合は、トーン・オブ・ボイスや表記ルールも設定します。
ここで重要なのは、すべてを厳格な禁止事項にすることではありません。
現場で迷う判断を洗い出し、必要な部分からルール化していきます。

STEP4. ブランドガイドラインとして文書化する

決定した内容を、実際に使用する人が理解できる形にまとめます。
数値やルールを文章で並べるだけでは、日常業務で使いにくい場合があります。
そのため、

  • OK例
  • NG例
  • 使用例
  • 図解
  • 媒体別の適用例
  • テンプレート

などを組み合わせます。
ブランドガイドラインは「作成した人が分かる資料」ではなく、初めて見る人でも判断できる資料にすることが重要です。

STEP5. 社内外への展開方法を決める

ブランドガイドラインをどこに保存し、誰が閲覧できるのかを決めます。
社内であれば、共有サーバー、クラウドストレージ、社内ポータルなどが考えられます。
外部パートナーへ共有する場合は、ガイドラインだけではなく、

  • 正式なロゴデータ
  • 写真素材
  • テンプレート
  • フォント情報
  • 問い合わせ先

なども一緒に共有できる状態にしておきます。

STEP6. 運用・更新体制を構築する

最後に、ブランドガイドラインを継続して管理する体制を決めます。
事業やサービス、新しい媒体の追加などによって、ブランドガイドラインに記載されていないケースが発生することがあります。
そのため、

  • 誰が管理するのか
  • 誰が変更を承認するのか
  • 例外はどのように判断するのか
  • いつガイドラインを更新するのか

まで決めておくことが重要です。
ブランドガイドラインは、作成した時点で完成して終わる資料ではありません。

ブランドガイドラインの運用ルールの決め方

ブランドガイドラインを実際の業務で活用するには、デザインルールだけでなく運用方法も決める必要があります。
こうしたブランドを継続的に管理する仕組みは、ブランドガバナンス(Brand Governance)と呼ばれることがあります。

管理責任者と承認フローを決める

まず、ガイドラインの管理部署や責任者を明確にします。
新しい広告を制作するときや、ガイドラインにない表現を使用したいとき、「誰に確認すればよいのか」が分からなければ、現場ごとに異なる判断が行われる可能性があります。
たとえば、
制作担当

ブランド担当・広報担当が確認

必要に応じて修正

承認
といったフローを設けます。
また、ガイドラインにないケースや例外的な判断が繰り返し発生する場合は、その判断内容を記録します。
同じようなケースが今後も発生すると考えられる場合には、必要に応じて新しいルールや事例としてブランドガイドラインへ追加します。
個別の制作物を承認することと、ガイドラインそのものを更新することを分けておくと、例外が増えすぎることを防ぎながら運用しやすくなります。

必須・推奨・例外を分ける

すべてのルールを同じ強さで設定すると、運用しにくくなる場合があります。
そのため、

必須
必ず守るルール

推奨
原則として使用するルール

例外対応
責任者へ確認したうえで変更できるもの

といった形で重要度を分ける方法があります。
たとえばロゴの縦横比を変更しないことは「必須」、写真の構図は「推奨」とするなど、ブランドへの影響度に応じて整理します。

媒体ごとの違いを想定する

Webサイト、PowerPoint、印刷物、SNSでは使用できる環境が異なります。
たとえば、

  • WebではWebフォントを使用する
  • PowerPointでは標準フォントへ置き換える
  • WebではRGB・HEXを使用する
  • 印刷ではCMYKを使用する

といった違いがあります。
一つのルールをすべての媒体へ無理に適用するのではなく、媒体ごとの代替ルールを用意しておくと実務で使いやすくなります。

バージョンとブランドアセットを管理する

ガイドラインには、発行日、バージョン、更新日、変更履歴などを記載します。
たとえば、

Version 1.0|2026年8月制定

のようにしておけば、現在使用しているガイドラインが最新版かどうかを確認できます。
同時に、ロゴ、写真、テンプレートなどのブランドアセットも一元管理します。
最新版がどこに保存されているのか分からない状態では、古いロゴやテンプレートが再利用される可能性があります。

例外への対応方法を決める

ブランドガイドラインですべての制作物を事前に想定することは困難です。
新しいSNS、動画、共同ブランド、展示会、特殊な広告など、既存ルールだけでは判断できないケースも発生します。
そのため、「例外は禁止」とするだけではなく、例外が発生したときに誰が判断するのかを決めておくことが重要です。
実際の運用を通じて判断例が蓄積されたら、必要に応じてガイドラインへ追加します。

ブランドガイドラインを社内外でどう使うか

ブランドガイドラインは、作成するだけではブランド表現の統一につながりません。
実際に使用する人が、必要な場面で必要な情報へアクセスできる状態をつくる必要があります。

社内では役割ごとに必要な情報を届ける

すべての社員に詳細なVIマニュアルを渡しても、日常業務ですべての内容を確認するとは限りません。
たとえば、

営業担当
提案資料、PowerPoint、ロゴ、カラー、商品・サービス名の表記

広報担当
Webサイト、SNS、プレスリリース、文章表現

採用担当
採用サイト、求人広告、会社説明資料

デザイナー
ロゴ、カラー、フォント、写真、レイアウト

といったように、役割ごとに必要な情報へアクセスしやすくします。
新入社員研修や社内勉強会などで共有し、ブランドガイドラインを「一度読む資料」ではなく、日常業務で参照する資料として定着させることも重要です。

外部パートナーにはブランドアセットとセットで共有する

Web制作会社、広告代理店、印刷会社などへ制作を依頼する場合は、ブランドガイドラインとあわせて正式なブランドアセットを共有します。
たとえば、

  • ロゴデータ
  • カラーデータ
  • フォント情報
  • 写真素材
  • イラスト
  • PowerPointなどのテンプレート

です。
ガイドラインだけ渡しても、正式な素材がどこにあるのか分からなければ、Web上の低解像度ロゴが使われるなどの問題が生じる可能性があります。
一方、有料フォントや写真素材などは、ライセンス上、社外へそのまま提供できない場合があります。
共有可能なデータと、外部パートナー側で契約・取得が必要なデータを整理しておきましょう。

外部利用時の権利条件も整理する

ロゴやブランド名が商標として管理されている場合など、第三者が自由に使用・変更できるとは限りません。
必要に応じて、

  • 外部利用の可否
  • 事前確認の要否
  • 提携企業による使用条件
  • 商標表記
  • 問い合わせ先

などをブランドガイドラインへ記載します。
個別の商標権・著作権や契約条件については状況によって異なるため、必要に応じて法務担当者や専門家へ確認します。

PDFとWeb形式を使い分ける

ブランドガイドラインはPDFで作成されることがあります。
PDFは印刷や配布がしやすく、環境によってレイアウトが大きく崩れにくい点が特徴です。一方、更新するたびに新しいファイルを配布する必要があります。
Web形式にすると、最新版を一元管理しやすく、検索、動画掲載、ブランドアセットのダウンロード、アクセス権限などの機能も設計できます。
どちらか一方が常に優れているわけではありません。
利用人数、更新頻度、外部共有の有無などを踏まえて選択します。

ブランドガイドラインテンプレート|盛り込みたい9つのセクション

ブランドガイドラインの作り方をゼロから考えると、必要な項目を見落とす可能性があります。
そこで、ブランドガイドラインテンプレートを利用して全体像を整理したうえで、自社に必要な項目だけを具体化する方法があります。
基本的な構成例は、次の9セクションです。

1. ブランド基本情報

  • ガイドラインの目的
  • 対象ブランド
  • 使用対象者
  • 発行日・バージョン
  • 管理部署
  • 問い合わせ先

2. ブランドアイデンティティ

  • パーパス
  • ミッション
  • ビジョン
  • バリュー
  • ブランドコンセプト
  • ブランドプロミス
  • ブランドパーソナリティ

すべてを掲載する必要はありません。表現ルールの背景を理解するために必要な内容を選びます。

3. ロゴ

  • 基本ロゴ
  • バリエーション
  • クリアスペース
  • 最小サイズ
  • カラー版・モノクロ版
  • 背景別の使用方法
  • 禁止例

4. カラー

  • プライマリーカラー
  • セカンダリーカラー
  • アクセントカラー
  • HEX
  • RGB
  • CMYK
  • 用途
  • 推奨する色の組み合わせ

5. タイポグラフィ

  • 日本語書体
  • 欧文書体
  • 見出し・本文の使い分け
  • ウェイト
  • サイズ
  • 行間
  • Webフォント
  • 代替フォント

6. 写真・イラスト・アイコン

  • 写真の方向性
  • 被写体
  • 構図・色調
  • レタッチ
  • イラストの線・塗り
  • アイコン
  • OK例・NG例

7. 言語表現・トーン・オブ・ボイス

  • 敬体・常体
  • 一人称・二人称
  • 表記ルール
  • 専門用語の扱い
  • 推奨する言葉
  • 避ける表現
  • CTA・見出し・SNSなどの文例

8. 媒体別展開

  • Webサイト
  • 営業資料
  • 広告
  • SNS
  • 採用
  • 印刷物
  • 動画
  • 店舗・サイン

媒体によって使用環境が異なる場合は、代替フォントやカラーなども整理します。

9. 運用・ブランドガバナンス

  • 管理責任者
  • 承認フロー
  • 必須・推奨ルール
  • 例外対応
  • ブランドアセットの保存場所
  • バージョン管理
  • 更新方法

テンプレートをそのまま使う必要はない

ブランドガイドラインテンプレートは、必要項目の抜け漏れを防ぐためには便利ですが、記載されているルールや数値をそのまま自社へ流用するものではありません。
たとえば、ロゴのクリアスペースや最小使用サイズは、自社ロゴの形状によって適切な値が異なります。
ブランドカラーも、Webで使用する場合には背景色との組み合わせや視認性を確認する必要があります。
また、すべての企業に9セクションすべてが必要とは限りません。
まず、
誰が困っているのか
どの制作物でブランド表現がぶれているのか
何を統一すれば運用しやすくなるのか
を整理し、必要な項目から作成することが重要です。
小規模な運用であれば、ロゴ・カラー・タイポグラフィ・写真・トンマナなどを数ページにまとめた簡易的なブランドガイドラインから始める方法もあります。

まとめ|ブランドガイドラインは「作る」だけでなく「使える状態」にする

ブランドガイドラインの作り方で重要なのは、ロゴやカラーのルールを一覧にすることだけではありません。
上流にあるブランド戦略やブランドアイデンティティを踏まえ、ロゴ、カラー、タイポグラフィ、写真、イラスト、トーン・オブ・ボイスなどを具体的な表現ルールへ落とし込み、社内外で継続的に運用できる状態をつくることが重要です。
基本的な流れは、
ブランド戦略・ブランドアイデンティティの確認

既存ブランドアセットの棚卸し

表現ルールの策定

ブランドガイドラインとして文書化

社内外への共有

運用・更新
と整理できます。
特に実務では、「担当者によって判断が違う」「どのロゴを使えばよいか分からない」「制作会社ごとにデザインが変わる」といった、日常的に迷いやすい判断をルール化することがポイントです。
ロゴのクリアスペースや禁止例、ブランドカラー、タイポグラフィといったVI運用ルールだけでなく、管理責任者、承認フロー、例外対応、バージョン管理、ブランドアセットの保存場所まで設計しておくことで、ブランドガイドラインを実際の業務で活用しやすくなります。
また、ブランドガイドラインテンプレートを利用するときも、すべての項目を埋めること自体を目的にする必要はありません。
「自社のブランド表現を一貫して運用するために、誰が、どの場面で、何を判断できる必要があるのか」を基準に、必要なルールを選択していきましょう。
最初から大規模なブランドガイドラインを作成するのが難しい場合は、現在特に判断が分かれているロゴ、カラー、タイポグラフィ、トンマナなどから整理し、運用しながら必要な項目を追加していく方法もあります。
ドコドアでは、企業ブランディングやリブランディングに関する戦略立案から、Webサイトの制作、マーケティング支援、そして社内浸透まで一貫したサポートを行っております。自社の強みをどのように言語化すべきかお悩みの方や、コンセプトを具体的な施策に落とし込む方法をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にドコドアまでご相談ください。

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