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スタートアップのホームページ制作|失敗しない「MVP思考」のWeb設計

スタートアップの立ち上げ期には、プロダクト開発や資金調達、採用などに追われる中で、ホームページ制作が後回しにされがちです。しかし、いざ社外に向けて動き出す段階になると、事業内容や会社の姿勢を伝えるための、最低限の「会社の顔」となるサイトが必要になります。
一方で、スタートアップに使えるリソースは限られています。一般企業と同じ感覚で最初から完成度の高いサイトを目指すと、コストや時間がかかり、事業スピードを落としてしまうことも少なくありません。
だからといって、簡単に作ればいいわけでもありません。ホームページは、投資家や取引先、求職者が最初に接する重要な接点であり、一定の信頼感は欠かせないからです。
そこで本記事では、スタートアップの製品開発でおなじみの「MVP(Minimum Viable Product)」の考え方をWeb制作に応用し、限られたリソースの中で、費用対効果とスピードを両立させるホームページ制作のポイントを解説します。
目次
「気合を入れたサイト」ほど失敗する? スタートアップ特有の3つの落とし穴
まず押さえておきたいのは、スタートアップのホームページ制作には、一般企業とは異なる構造的な難しさがあるという点です。
「気合を入れて作ったのに成果が出ない」「すぐに情報が古くなってしまう」といった失敗は、制作の出来不出来ではなく、スタートアップ特有の課題を考慮せずに進めてしまうことが原因で起こりがちです。
ここからは、スタートアップのホームページ制作で特に陥りやすい3つの課題を見ていきます。
課題①:事業・訴求の変化が速い
スタートアップでは、数ヶ月単位でターゲットや見せ方、伝えるメッセージが変わることも珍しくありません。
しかし、最初から作り込みすぎたホームページを用意してしまうと、こうした変化に柔軟に対応できなくなります。その結果、サイトが事業の変化に対応しづらい存在になってしまうことがあります。
課題②:目的が整理されないまま作ってしまう
ホームページに求められる役割は、資金調達のための信頼づくり、採用、サービス紹介、問い合わせ獲得など多岐にわたります。
しかし、それらを同時に満たそうとすると、情報量だけが増え、「誰に向けたサイトなのか」「何をしてほしいのか」が分かりにくい構成になりがちです。
結果として、どの読者にも強く刺さらないサイトになってしまう。これもスタートアップのHP制作でよく起こる課題です。
課題③:更新・運用する「人」がいない
スタートアップでは、エンジニアはプロダクト開発に集中すべき存在です。一方で、広報やWeb担当者がいない、もしくは代表やエンジニアが兼任しているケースも少なくありません。
その結果、「更新できる仕組みはあるが、実際には誰も更新しない」「気づいたら情報が古いままになっている」といった状態に陥りやすくなります。
つまり、スタートアップのホームページ制作の難しさは、変化が前提の事業であるにもかかわらず、完成形を求められがちな点にあります。
次章では、こうした課題を前提にしたうえで、スタートアップ特有のHP制作で押さえるべきポイントを整理していきます。
スタートアップ特有のHP制作で押さえるべき3つのポイント
リソースが限られ、変化が激しいスタートアップにおいて重要なのは、あれもこれもと詰め込む「足し算」ではなく、戦略的な「引き算」の思考です。
「何を削り、何を絶対に守るべきか」。その判断基準となる3つのポイントを解説します。
ポイント①:最低限クリアすべき「信頼ライン」を定義したMVPで作る
ここでいうMVPは、「雑に作ること」や「安く済ませること」を意味しません。ホームページ制作におけるMVPとは、まず下回ってはいけない信頼のラインを明確にすることです。
例えば、
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事業内容が一目で分かるか
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誰が運営している会社なのかが伝わるか
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外部から見て不安を感じないか
こうした最低限の信頼要件を満たしたうえで、機能や情報量、ページ数を絞っていていきます。
「完璧ではないが、信頼は損なわない」状態でリリースすることが、スタートアップの現実に合ったMVPです。
ポイント②:フェーズごとに、最優先の目的を一つに絞る
スタートアップのホームページでは、資金調達、採用、サービス紹介、問い合わせ獲得など、さまざまな役割を一度に担わせたくなりがちです。しかし、目的を詰め込みすぎると情報量ばかりが増え、「誰に向けたサイトなのか」「何をしてほしいのか」が伝わりにくくなります。
だからこそ重要なのは、今の事業フェーズで最も重要な目的を一つ決めることです。投資家への信頼づくりなのか、初期ユーザーの獲得なのか、あるいは採用なのか。最も見てほしい相手を明確にしたうえで設計することで、構成はシンプルになり、限られたリソースでも成果につながりやすいホームページになります。
ポイント③:「更新できる前提」で作る
スタートアップのホームページでは、デザインの完成度よりも、情報を更新し続けられるかどうかが重要です。なぜなら、事業やメッセージが変化し続ける以上、更新できないサイトはすぐに実態とズレてしまうからです。
ここで考えるべきなのは、ツールの問題だけではありません。
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誰が更新するのか
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どの程度の頻度で更新できそうか
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そもそも本当に更新が必要な項目はどこか
こうした運用面まで含めて設計することで、「更新できるはずなのに、実際には放置される」という状態を防ぐことができます。
実際にどう作るか? MVP思考を形にする「判断」のヒント
では、実際のホームページ制作では、どのような判断をすればよいのでしょうか。ここでは、スタートアップがMVP思考でWebを作るための実践のヒントを簡潔に整理します。
まず、ノーコードツールやCMSの活用は有効です。エンジニア以外でも修正できる環境を整えることで、事業の変化に合わせた更新が現実的になります。一方で、更新担当が決まっていない場合は、無理に更新前提にせず、触らなくても成立する構成に割り切る判断も必要です。
また、サイト構成を「本体」と「機能」に切り分けて考えるのも有効です。事業フェーズが初期であれば、本体サイトは信頼を担保するための1ページ(LP型)に留めるという判断も十分に現実的です。
一方で、採用やブログなど更新頻度の高い情報は、Wantedlyやnoteといった外部サービスに任せるという選択もあります。役割を分けることで、無理に作り込まずとも、コストを抑えた情報発信が可能になります。
もし外部に依頼するのであれば、スタートアップ特有のリソース制約や事業フェーズをきちんと理解している相手かどうかが重要になります。要望をそのまま形にするのではなく、「今やるべきこと」と「後回しにしていいこと」を整理し、現実的な選択肢を示してくれるパートナーであれば、無駄な迷いや手戻りを減らすことができます。
まとめ
スタートアップのホームページは、最初から完成形を目指すものではありません。名刺代わりに一度作って終わるのではなく、事業フェーズに応じて役割を変えながら使われ続ける、戦略的なツールです。
限られたリソースの中で重要なのは、すべてを盛り込むことではなく、「今、何が必要で、何はまだ不要か」を見極めることです。MVP思考でホームページを捉えることで、無理のない規模で立ち上げ、事業の変化に合わせて柔軟に見直すことができます。
小さく作る目的は、単なるコスト削減ではありません。速く公開し、検証し、必要に応じて修正していく。そのサイクルを回すための手段です。
スタートアップのホームページ制作は、デザインや機能の完成度を競うものではなく、事業スピードを落とさずに前に進むための選択です。今のフェーズに合った形を選ぶことが、結果的に最も費用対効果の高いWeb活用につながります。
ドコドア 編集部
EditTeam