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AIアプリ開発を徹底解説!|開発の流れと効率化のために押さえておきたいポイント

近年、スマートフォンやクラウド環境の普及により、人工知能(AI)や機械学習(Machine Learning)を活用したサービスが急速に拡大をみせています。そんな中で多くの企業から注目を集めているのが「AIアプリ開発」です。チャットボットや画像認識、需要予測、レコメンドエンジンなど、さまざまな分野でディープラーニング技術が活用され、ユーザー体験を大きく向上させるアプリが増えています。
本記事では、初心者から中級者の方に向けて、「AIアプリ開発」を成功させるための実践方法と成功のためのポイントを分かりやすく解説します。人工知能を活用したアプリの基本的な仕組み、開発期間を左右するポイント、プロジェクトを円滑に進めるための方法など、幅広いトピックを取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
目次
AIアプリ開発の基礎知識
1.1. AIアプリ開発とは
「AIアプリ開発」とは、人工知能(AI)技術を活用した機能やサービスを組み込んだモバイルアプリやWebアプリを開発することを指します。具体的には、下記のような要素が関わってきます。
・AIモデル・推論エンジン:機械学習やディープラーニングを使ったモデルを構築し、ユーザー入力に応じて結果を返す
・データの収集・前処理:学習に使うデータを整え、モデルが効率よく学習できるようにする
・UI/UX設計:AI結果をユーザーにわかりやすく提示し、操作しやすいインターフェイスを作る
1.2. AIアプリの種類
AIアプリには大きく分けて以下の2種類があります。
・機械学習(Machine Learning)
特定のアルゴリズム(決定キーやSVMなど)を用いてデータから規則を学習し、予測や分類を行う技術。GoogleのCloud AIやIBMのWatson等の学習済みの機械学習モデルを用いることで、低コストかつ一定のクオリティが保証される。
・ディープラーニング(Deep Learning)
多層のニューラルネットワークを活用して、大量のデータから特徴を自動抽出し、高い精度で推論を行う先進的な手法。複雑なパターンを自動的に学習し、高度な特徴抽出と予測精度を実現する。
AIアプリを作る場合、アプリの目的や取り扱うデータの種類によって、機械学習やディープラーニングのどちらを採用するか、あるいは両方を組み合わせるかを検討します。
1.3. AIアプリ開発の典型的な活用事例
アプリにおけるAIの利用は多岐に渡りますが、ここでは主な活用事例をいくつか紹介します。
・チャットボット:大量のテキストデータを学習させた自然言語処理を使って、ユーザーの質問や要望に自動で応答する。例:「Siri」や「Googleアシスタント」
・画像認識・音声認識:ディープラーニングで学習したモデルを用いて、画像や音声から特定の情報を抽出する。例:Googleフォトの「消しゴムマジック」や「文字起こしアプリ」
・レコメンドエンジン:ユーザーの行動履歴から好みや傾向を分析し、最適な商品やコンテンツを提案する。例:ECサイトの購入履歴に基づく「おすすめ」やストリーミングあぷりでの視聴履歴に基づく「おすすめ」
・需要予測・数値予測:時系列データを活用して、売上や在庫数、需要の変動を予測する。例:ECサイトの在庫管理や気象予報
AIアプリ開発の期間を左右する3大要素
「AIアプリ開発」の期間は、一般的なアプリ開発よりも複雑になりがちです。特に以下の3つのポイントが期間を大きく左右します。
① 機能の複雑度と精度要求
・機能が多いほど開発期間が延びる
例えば、チャット+画像認識+音声アシスタントなどを複数の機能を搭載する場合、実装・テスト工数が膨大になるため開発時間も長くなります。せっかくアプリを開発するのであれば様々な機能を搭載したくなってしまいますが、スピード感のある開発のためには、必要最低限の機能に絞ることも重要です。
・精度要求が高いモデルほど学習やチューニングに時間がかかる
例えば、正答率99%を目指す場合、データの追加収集やモデル再学習を何度も行う必要が生じます。そのため、基本的には精度要求が高くなる程開発時間も長くなる傾向があります。
②学習データの準備と前処理
・データ収集のハードル
ディープラーニングを用いる場合には、1からデータを学習させる必要があります。ある程度の精度を実現するためには高品質な学習データをどのように確保する必要が生じます。
・前処理の複雑度
データクリーニング、ラベリング、正規化などは精度を向上させるために重要な作業で地味ではありますが、工数を要する工程です。
③クラウド環境とインフラ構築
・GPU環境や高速ネットワークが必要になるケース
ディープラーニングではGPUサーバーを使うことが多く、クラウドサービス(AWS、GCP、Azureなど)の選択も重要になってきます。
・本番運用とスケーラビリティ
リクエスト数が増えた場合にはスムーズに対応できるインフラ設計が必要です。また、モニタリングやオートスケーリングの設定にも時間がかかります。
AIアプリ開発のスケジュールを組む際のポイント
ここでは「Aiアプリ開発」のスケジュールを、一般的な4つのステップに分けてご紹介します。基本的には通常のアプリ開発と似た流れですが、AI特有の工程も加わります。
3.1. 要件定義とモデル選定(1週間〜1ヶ月程度)
ビジネスゴールや用途の明確化
・どのような課題をAIで解決したいのか
・ターゲットユーザーは誰か
必要なモデルの選定
・分類問題か、回帰問題か
・自然言語処理か、画像解析かなど
3.2. 設計・デザインフェーズ(2週間〜2ヶ月程度)
UI/UX設計
・AIの結果をどのように表示するか
・操作フローでユーザーの混乱を防ぐ仕組みを考える
データベースやAPI設計
・学習済みモデルをどのように呼び出すか
・推論リクエストとレスポンスの設計
3.3. 実装・テストフェーズ(2ヶ月〜6ヶ月)
AIモデル開発・学習
・データを前処理し、モデルを学習・チューニング
・検証データで精度を測定し、必要に応じてモデルを再構築
アプリ側の実装
・フロントエンド(画面・UI)とバックエンド(サーバー処理)を連携
・AIモデルへのAPIリクエストの流れを構築
テスト
・単体テスト・結合テストに加え、AIの推論結果の品質テストも行う
3.4. リリースと運用保守フェーズ(リリース:数日、運用保守:半年〜数年)
ストア申請やデプロイ
・モバイルアプリならApp StoreやGoogle Playに申請
・Webアプリやサーバーはクラウド環境へデプロイ
初期運用とフィードバック収集
・ユーザーやクライアントからの意見を拾い、改善点を洗い出す
・改善点をもとにAIモデルの精度向上のために追加データを収集
AIアプリ開発を成功に導く実践的なポイント
先ほど紹介したように、モデルの検討やチューニングのために「AIアプリ開発」は開発期間が読みづらくなることが多いです。しかし、以下のポイントを抑えることで、スケジュールを短縮しつつ高品質なサービスを提供しやすくなります。
4.1. MVPの導入でリリースを早める
・MVP(Minimum Viable Product)
最小限のAI機能(例:画像分類だけ先に実装)でアプリをリリースし、実際のユーザーからのフィードバックを得ながら修正、改善を行い開発期間を短縮する方法です。
4.2. プロトタイプでモデル精度を検証
・プロトタイプ作成
学習済みモデルを簡易的にUIへ組み込み、動きを試す。そこから得られたフィードバックをもとに改善を行っていきます。
・早期検証
モデルの予測精度やユーザーにとっての使いやすさを早い段階でチェックできます。
4.3. アジャイル開発とスクラムで柔軟に対応
・アジャイル開発
短いスプリントごとに開発とテストを繰り返し、都度改善を行うことで変更への臨機応変な対応が可能な開発方法です。
・スクラムフレームワーク
毎日のスタンドアップミーティングやスプリントレビューを通じ、仕様変更や不具合に迅速に対応することができます。
AIアプリ開発の注意点と失敗を防ぐコツ
ここまでは、AIアプリの開発の流れやスケジュール管理についてご紹介してきました。ここからは実際にアプリを開発する中で起こりがちな失敗に対する注意点とその対策をご紹介します。
5.1. データの偏りとバイアス対策
・特定の属性やソース、カテゴリーに極端に偏ったデータを学習させると、予測結果にバイアスがかかり、精度が下がる可能性があります。対策として、多様なデータセットを用意し、ラベリング精度をチェックする。バイアス検出ツールを併用するのも有効。
5.2. プライバシーとセキュリティへの配慮
・顔や声の情報などは重要な個人情報ですが、画像認識や音声認識とこれらの情報は切っても切れない関係にあるため、セキュリティ対策が必須です。 対策として、推論結果や学習データが外部に漏れないよう、通信をHTTPSやVPNで暗号化し保護する。
5.3. 運用コストと継続的学習
・ ユーザー環境やデータ傾向が変化すると、次第にモデルが陳腐化して精度が落ちてしまいます。対策として、新たなデータを定期的に学習に組み込み、継続的学習を行うことでモデルをアップデートし、精度を維持する。
初心者におすすめの開発プロセスとツール
「Aiアプリ開発」は専門的な知識が必要なイメージがありますが、近年は初心者でも扱いやすいノーコード/ローコードツールや学習済みモデルが多数登場しています。
6.1. AutoMLとノーコードAIプラットフォーム
・AutoML
Google Cloud AutoMLやAzure AutoMLなどで、データをアップロードするだけで自動的にモデルを構築することができます。
・ノーコードAIプラットフォーム
GUIベースでドラッグ&ドロップ操作により、簡単にAIワークフローを作成することができます。
6.2. 学習済みモデルの活用
・転移学習
既存の高精度モデルを基に一部だけ再学習して、自分の用途に合わせてカスタマイズすることで手軽に新たなモデルを作ることができます。
・API連携
AWSのRekognitionやGoogleのVision APIなどを利用すれば、複雑なアルゴリズムを実装しなくても画像認識機能をアプリに組み込むことができます。
6.3. 機械学習用ライブラリ・フレームワークの活用
・TensorFlow
Google製のディープラーニングフレームワークです。豊富なチュートリアルとコミュニティがあるため、初心者でもAIが学習や推論を行うために必要なニューラルネットワークを構築することができます。
・PyTorch
Metaが中心に開発しているオープンソースのライブラリです。様々な種類のディープラーニングを行うことができます。特に、動的グラフが扱いやすく、研究者や実装者の人気が高くなっています。
まとめ|AIアプリ開発ならドコドア!
今回は「AIアプリ開発」について詳しくご紹介しました。「AIアプリ開発」は、今後ますます需要が高まる分野です。人工知能を使った機能はユーザーに大きな価値を提供できる反面、開発期間が一般的なアプリよりも長くなりがちです。本記事で解説したポイントを活かし、効率的な開発の成功を目指しましょう。
この記事を通してAIアプリ作成の流れや要点は分かったものの、実際にアプリを作るにはまだまだ不安という方も多いのでは無いでしょうか。
そんな時には、私たちドコドアにぜひご相談ください。
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全国1,600社以上のWeb開発知見とロジックに基づくUI・UXデザインを強みとし、Flutterを用いたiOS・Andrçoidアプリ開発により、一般的なアプリ開発に比べ最大1/2の工数での制作を実現しています。BtoB、BtoC問わず様々な業界・業種での制作実績があり、アプリ開発のみならず要件定義からサービス企画・運用・CSまで、一貫したサポートの提供が可能です。
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