- JC(青年会議所)
22.最強の異業種交流会〜私がJC(青年会議所)で学んだ24.5のコト
MBAの取得を目的とするハーバード・ビジネス・スクール(HBS)では次のように「パーティ(飲み会)・スクール」と例えられることがあります。
ハーバード・ビジネス・スクールは、意外かもしれませんが、「パーティ・スクール」ともいわれるほど、各種イベントやパーティーが多い学校でした。そして、生徒の多くはパーティー、つまり宴会の達人でした。実は同校の仕組み上、パーティは必要不可欠なのです。同校では、2年間、ほとんど全てのクラスが講義形式ではなく、ケーススタディーという実際にあったビジネスの「物語」を教材としたディスカッション形式で授業が行われているという特殊な学習方法を実践しています。そんな学びの方法を取る限りは、生徒同士がお互いにとことん話し合える環境が不可欠です。自分の失敗も恥ずかしい経験も。なかなか人に言えない気持ちも、必要とあればすべてさらけ出し、クラスメートにぶつける。そんな「心のパンツを脱いで話し合うことができる」空間が必要なのです。
ハーバード流宴会術|児玉教仁|大和書房より
「心のパンツ」どこかで聞いた話ですねw
このような学びについては一見どのような団体でも当てはまりそうですが、「様々な業種が集まって、地域内外の方々とパーティ(飲み会)で、心のパンツを脱いで交流する」という条件は実は難しいものであり、JC以外に該当する団体は存在しません。ここでは何故JCだけがそのような学びに直結して、知らず知らずの内に学びを得ているかという点について私の考えを述べさせていただきます。
HBSとは
ここでHBSについて説明させていただきます。私は卒業している訳ではないので偉そうなことは言えませんが、第三者的立場からの一般論を述べさせていただきます。少し長いですが、様々な文献から引用させていただきます。
ハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School, HBS)は、ハーバード大学の経営大学院である。最も伝統的なビジネススクールのひとつであり、Business Weekの2016年のランキングでは全米で第1位、QS World University Rankingsでは世界第1位、Finantial Timesでは世界第4位に選ばれている。M7の参加校。ハーバード・ビジネス・スクールは、Master of Business Administration略称MBA(経営学修士)プログラムを1908年に設立した。MBAを習得する為、世界各国からハーバード・ビジネス・スクールに学生が集まってくる。ハーバード・ビジネス・スクールは、特にケースメソッド方式(事例研究法)を授業スタイルとして採用したことで有名である。ケースメソッド方式は、ハーバード・ロー・スクールにおいて、元来、開発され、それをビジネススクールに応用した。学生は、事前にビジネスの状況が描かれたケースを分析した上で、対話中心の授業に臨む。
wikipedia「ハーバードビジネススクール」より
HBSと商工会議所の違い
最も適していそうな商工会議所や商工会は、その会の目的が次のように定義されています。
商工会議所(しょうこうかいぎしょ、英語: Chamber of Commerce and Industry)は、商工業の改善・発展を目的として、市など一定地区内の商工業者によって組織される自由会員制の公益経済団体。商工会議所としての意見の公表・具申・建議、調査研究、証明・鑑定・検査、技術や技能の普及・検定、取引の仲介・あっせん、貿易振興などを行う。商工会議所の起源は1599年のフランスのマルセイユに組織された商業会議所とされている。以来、各国に同種の経済団体が組織されているため、国内外における調整機関として役割を持つことが可能。その形態は大きく仏独系(強制加入)、英米系(任意加入)に分類される。日本の商工会議所は1878年(明治11年)、東京、大阪、神戸の3箇所に商法会議所として設立されたのがはじまり。1892年(明治25年)15の商業会議所がその連合体として商業会議所連合会を結成、今日では商工会議所法に基づく認可法人の位置付けとなっている。現在の形態の商工会議所は、1953年8月に制定された商工会議所法に基づいて運営されている。商工会議所青年部(YEG)や商工会議所女性会も商工会議所の一部として立ち上がっている。日本においては幾たびかの制度改正が行われ、仏独系から現在の英米系の商工会議所として今日に至っている。簿記検定やご当地検定の主催など、様々な資格・検定試験を実施している。wikipedia「商工会議所」より
つまり公的機関ではありますが、商工業の改善・発展を目的とした会ですので、いわゆるビジネスに特化した会なのです。私も所属しておりますし、素晴らしい会だと思いますが、「心のパンツを脱いで交流する」の条件に対しては当てはまりません。これは日本に存在するほとんどの会が同様の目的となっています。経済を目的とした会は経済に特化した会話が繰り広げられます。似たような団体では同業種の組合のようなものも存在しますが、こちらは自社の繁栄を願う同業種の皆さんが集まりますので、「様々な業種が集まって交流する」には該当しません。
近いものでは、官公庁が主催している地域振興を目的とした若者の集う会がありますが、やはり「心のパンツを脱いで交流する」条件には当てはまりません。
気づかずに成長させてもらっているJCという場
よって、「様々な業種が集まって、地域内外の方々とパーティ(飲み会)で、心のパンツを脱いで交流する」という条件に該当する団体はJCは以外に存在しないのです。反論は甘んじて受け入れますので、ドシドシご意見ください。
逆に言えば、何気に在籍しているJCは、あなたが気づかないだけでビジネスマンとして知らず知らずの内に成長させてもらっているのです。もっと言えば、JCにいるだけで、あなたは世界の頭脳の中枢が集まって、MBAを取得するためのHBSに通っているのと同じような環境を体験しているのです。私はJC卒業イコールMBAならぬMJA(Master of JC Administration)の取得を与えてもいいのではないかと考えています。
JCとHBSの共通点
少し長いですが、お付き合いください。
世界最高峰の経営大学院といわれているハーバード・ビジネス・スクール。アメリカの東海岸、ボストンに位置しますが、生徒は全世界、80か国以上から各国の若手リーダー候補たちが集まります。単なるお勉強ができる秀才ではなく、メキメキと頭角を表している若手ビジネスパーソン、元プロスポーツ選手、特殊部隊出身の軍人、一流官僚…職業は様々ですが、優秀さだけではなく、熱いハートを持った情熱あふれる20代中盤から30歳前後の精鋭たちが毎年900人ほど集まってきます。
そんな彼らには2年間の「虎の穴」のような過酷なプログラムが用意されています。無慈悲にも、毎年成績の下位数パーセントは容赦なく放校とされるという極限の厳しさをもった学校なのですが、その究極の教育の目的はただひとつ。「世界に影響を与える変革を起こせるリーダー」を育てる。
そう、面白いことに「経営大学院」といいつつも、ここでは「優秀なビジネスマン」になるためではなく、「リーダー」になることを目指して徹底的な教育が施されるのです。結果、卒業生は全世界で活躍するようになります。
フォーチュン500(全米上位500社がその総収入に基づいて決められるフォーチュン誌のランキング指標)にはいる企業の半分は、この学校の卒業生が経営しているといわれているほど、ブッシュ大統領など世界の政治家たちをはじめ、その他さまざまな分野で世界規模で活躍するリーダーが排出しています。<中略>
特にグローバルな関係では、肌の色や眼の色が違うだけではなく、母国語も、考え方も、価値観のベースとなる社会通念も違う人たちが一緒になにかをつくり出していくためには、少なくとも「信頼関係」が結べていなければまったく話にならない。お互いに「違う」のだから、その「違い」を受け入れるためには、基礎となる「信頼」が必要であるということをよく知っている人たちでした。
彼らは学校側からの誘いに乗るだけではなく、自ら積極的にさまざまなイベントを仕掛け、どれだけ学業が忙しく、徹夜で勉強しようが、必ず「宴会(パーティー)」に顔を出し、全力でそれを楽しむことで、強固な、そして尊い関係性を結んでいました。パーティー、すなわち「宴会」は、ハーバード・ビジネス・スクールの必要不可欠な仕掛けのひとつであり、大切な文化だったのです。宴会とは、見方を変えれば「ミニ・プロジェクト」です。ビジョンを打ちたて、プランを策定し、集客し、予算を確保し、各種ロジティクス(実行のための諸々の手配)を準備し、さまざまなリスクを回避する。そして強いリーダーシップを持って不確定要素の多い本番を切り盛りしていく。ビジネスにおけるプロジェクトの進め方とまったく同じようなことを短時間でやり切るものです。つまり、極上の宴会を仕掛けるためには、世界最高峰といわれるビジネススクールの知識が役に立たないはずがなかったのです。
これは、僕にとっても大きな驚きでした。僕は、もともと無口で、あまり人と話すことが得意ではないシャイな青年で、宴会というものが大の苦手でした。お酒がほとんど飲めなかったことも手伝って、そういったお酒の場は敬遠している派でした。
<中略>
強調しておきたいことは、僕自身がもともと社交的ではなく、お酒も不得手で、なにより宴席が大の苦手だったことです。したがって、無理にでも夜の席に参加しなければならない人の苦痛は痛いほどよくわかります。ただ、これだけは自分の経験からいえるのですが、たとえこれまで宴会があまり好きではなく、足が遠のいていた人でも、宴会というものに真正面から向き合うことになったとき、そして、自らが積極的に会を引っ張る側に立ったとき、人は根底から変われるのです。
ハーバード流宴会術|児玉教仁|大和書房より
JCに関わりのある方であれば、どこかで聞いたような話ばかりではないでしょうか。「世界に影響を与える変革を起こせるリーダー」を育てているHBSと、「ひとづくり」「まちづくり」を行なっているJCのプログラムは、講師が教授と先輩の違いはあれど、ほとんど同じような内容なのです。
卒業生にも元総理大臣の麻生太郎先輩や小渕恵三先輩、小泉純一郎先輩、中曽根康弘先輩、元アメリカ大統領のジョン・F・ケネディ先輩や、ビル・クリントン先輩、リチャード・ニクソン先輩、ロナルド・レーガン先輩、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ先輩などがいらっしゃいます。
この著書の内容としては、若干日本の商社出身の体育会系臭がしますが、キーワードとして、「ノーブレス・オブリージュ」、「席順は事前にシミュレーションしておけ」、「空いたグラスを見逃すな」、「翌日の早朝に本気で御礼を言え」というものがあり、これらもよく耳にする言葉ですね。知らず知らずの内に、皆さんはJCを通じてHBSと同じような教育を受けているのです。
成長の場としては、結局JCが最強
ビジネス的に経営者の立場で言えば「御社の社長は地域のために貢献するナイスガイだから、新規取引をする上で問題ない」ことで取引がスムーズになりますし、マネージャーの立場で言えば「経営者として相応しいから、ぜひ取締役に昇格してほしい」「あなたは魅力的だからぜひ協業してほしい」、飛躍したら「ぜひ転職してきてほしい」なんてことになるようです。
もちろん、「新規取引」や「転職」がJC入会の目的ではないので、最初から上記を目的とした場合はなかなか成果には結びつきませんが、異業種交流も幅広い業種や多くの方と接すれば接するほど自らの成長に繋がり、イコールJCに参加すればするほど成長するという図式になります。
さらには、お酒の席での立ち居振る舞いも学ぶことができますし、地元の商店街や歓楽街でお店を紹介していただき、JCならではの恩恵を預かることもできるのです。小さな話ですが、私も地元の仲間を連れて行ったときに常連客扱いをしていただけるだけで、入会したありがたみを感じます。
現役の皆さんは、普段行なっている修練が上記のように成長に繋がっていることを実感していただき、入会を検討されている方は、ぜひ、JCの門を叩いてください。そして、この世界のどこかでたまたま巡り会えたら、理由もなく一緒に飲みに行きましょう!