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【前編】AI時代のSEO(LLMO)対策とは?構造化データの概念と実装の基本

検索エンジンは今、「AIによる回答生成(SGE)」へと進化しています。
ユーザーは検索結果の一覧を見てクリックするのではなく、AIが要約・引用して返す世界。
この新しい検索環境で注目されているのが、LLMO(Large Language Model Optimization)=大規模言語モデル最適化です。
目次
LLMO(Large Language Model Optimization)とは
LLMOとは、AI(大規模言語モデル)が理解・引用しやすい形でWebコンテンツを最適化する手法を指します。
従来のSEOが「検索アルゴリズムへの最適化」だったのに対し、LLMOはAIへの意味的最適化です。
AIは単なる文字列ではなく、文脈・構造・意味を理解して回答を生成します。
つまり、AIに「このページは何を意味しているのか」を伝える仕組みが重要になります。
それが、構造化データ(Structured Data)です。
なぜ今、LLMOがSEOの主軸になるのか
GoogleやBingの検索生成AI(SGE)は、単なるクローラではなく意味を理解するエンジンに変わりました。
検索順位を決めるだけでなく、「回答を生成する際の参照ソース」としてサイトを評価しています。
検索から対話型AIへ
-
旧SEO: 「特定のキーワードで上位表示させる」
-
LLMO: 「AIが回答を作るときに自社ページを引用させる」
Googleが公式に示す構造化の重要性
Googleは構造化データを「検索機能がコンテンツを理解する手助け」と位置づけ、
リッチリザルトやSGE回答の判断基準に利用しています。
LLM時代に求められる「構造化された情報」とは
AIモデルがコンテンツを理解するためには、意味を明示した構造的マークアップが必要です。
構造化データとは
Webページの情報(タイトル・著者・商品名・価格・評価など)を、AIが理解できる形式でマークアップすること。
代表的な形式は「JSON-LD」です。
HTMLに直接埋め込まれるスクリプトとして記述し、schema.orgの語彙を利用します。
JSON-LD形式の概要と書き方の基本
【基本構文】
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "AI時代のSEO(LLMO)対策とは?",
"description": "AI時代の検索における構造化データの重要性を解説。",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "○○○"
},
"datePublished": "date",
"publisher": {
"@type": "Organization",
"name": "○○○",
"logo": {
"@type": "ImageObject",
"url": "URL"
}
}
}
</script>
【各プロパティの意味】
| プロパティ | 意味 | 例 |
|---|---|---|
@context |
スキーマの定義元(必須) | "https://schema.org" |
@type |
コンテンツの種類 | "Article", "Product", "FAQPage" など |
headline |
記事タイトル | "AI時代のSEOとは?" |
author |
著者情報 | {"@type":"Person","name":"○○○"} |
publisher |
発行元(企業・組織) | {"@type":"Organization","name":"○○○"} |
実装前に理解しておくべき構造化データの役割
構造化データは「直接的なランキング要因」ではありません。
しかし、AIやGoogleがコンテンツを理解する助けとなる間接的な要因です。
役割1:AIに意味を伝える
AIは「このページは記事なのか」「製品情報なのか」をデータ構造から理解します。
役割2:検索結果のリッチ化
構造化データを設定することで、検索結果に「著者名」「星評価」「価格」などが表示され、CTRが上がります。
役割3:ナレッジグラフ連携
OrganizationやPersonスキーマを設定すると、Googleのナレッジグラフ(右カラム情報)に反映される場合があります。
WordPressサイトでの構造化データ出力方法(実装例付き)
WordPressではテーマやACF(Advanced Custom Fields)を利用して、動的にJSON-LDを出力できます。
【functions.phpへの追加例】
function add_article_jsonld() {
if ( ! is_singular('post') ) return;
$post_id = get_queried_object_id();
$image = null;
if ( has_post_thumbnail($post_id) ) {
$img = wp_get_attachment_image_src( get_post_thumbnail_id($post_id), 'full' );
if ( $img ) $image = [$img[0]];
}
$data = [
'@context' => 'https://schema.org',
'@type' => 'Article',
'mainEntityOfPage'=> get_permalink($post_id),
'headline' => get_the_title($post_id),
'author' => [
'@type' => 'Person',
'name' => get_the_author_meta('display_name', get_post_field('post_author', $post_id)),
],
'datePublished' => get_the_date(DATE_W3C, $post_id),
'dateModified' => get_the_modified_date(DATE_W3C, $post_id),
'publisher' => [
'@type' => 'Organization',
'name' => 'docodoor',
'logo' => [
'@type' => 'ImageObject',
'url' => get_template_directory_uri() . '/img/common/logo.png',
],
],
];
if ($image) {
$data['image'] = $image;
}
echo '<script type="application/ld+json">' .
wp_json_encode($data, JSON_UNESCAPED_UNICODE | JSON_UNESCAPED_SLASHES) .
'&lt/script>' . "\n";
}
add_action('wp_head', 'add_article_jsonld');
このコードでできること
-
投稿ページで自動的に
Articleスキーマを出力 -
管理画面での更新がJSON-LDにも反映
-
Googleリッチリザルトテストで検証可能
まとめ:AIに理解されるための第一歩は「意味構造の明示」
従来のSEOが「キーワード中心」だったのに対し、
LLMOは「意味中心」「文脈中心」のアプローチへと進化しています。
AIが評価するのは、単なる単語の出現頻度ではなく、
ページがどんな意図で書かれ、どんな質問に対する最適な答えになっているかです。
つまり、「どんなキーワードで上位に出るか」よりも、
「AIがどんな文脈で引用しやすい構造か」が重視されます。
構造化データは、AIに「この情報はこういう意味だ」と伝えるための翻訳レイヤーです。
HTMLだけでは判断しづらい「著者」「発行元」「日付」「内容の種類」などを、
明確に定義してAIが誤解なく理解できるようにします。
特に Article と Organization の2つは、
すべての企業・メディアサイトで最優先で実装すべき基本スキーマです。
-
Article:記事構造を明示し、AIが「誰が・いつ・何を書いたか」を理解できるようにする。
-
Organization:発信元を明確にし、AIやGoogleが「信頼できる情報源」として認識できるようにする。
この2つを正しく実装するだけで、AIはサイト全体を「文脈のないページの集まり」ではなく、
信頼性をもった情報体系として理解できるようになります。
従来のSEOが「検索エンジンに見つけてもらう技術」だったのに対し、
LLMOは「AIに理解され、引用される設計」です。
構造化データの導入は、単なるコードの追記ではなく、
情報の意味をAIに伝えるための設計行為だと捉えることが重要です。
ドコドア エンジニア部
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