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ブランド戦略の作り方|構成要素・競合分析・テンプレートまで解説

ブランディングに取り組もうとしても、「何から整理すればよいのか」「ターゲットや提供価値をどう決めるのか」「競合分析の結果を戦略へどうつなげればよいのか」と迷うことがあります。ブランディング戦略の作り方で重要なのは、最初からロゴやキャッチコピー、Webサイトなどの制作物を考えることではありません。
まず、自社が「誰に」「どのような価値を」「なぜ自社だから提供できるのか」を整理します。そのうえで競合と比較し、どのような存在として認識されたいのかを定め、商品・サービス、言葉、デザイン、営業、Webサイトなどへ一貫して反映していきます。
つまり、ブランディング戦略とは、誰にどのような価値を提供し、競合と比較してどのような立ち位置を目指し、その考え方をどのような表現や体験として届けるかを整理する方針と考えると分かりやすいでしょう。
ブランディング戦略を作る際には、ターゲット、顧客課題、提供価値、競合、ポジショニング、ブランドコンセプト、ブランドパーソナリティなど複数の項目を検討します。ただし、それぞれを別々に決めるのではなく、前後の項目が論理的につながっていることが重要です。
本記事では、ブランディング戦略の構成要素から、ターゲット・提供価値・ポジショニング・ブランド表現の整理法、競合分析、社内で作る場合と外部へ依頼する場合の使い分けまで解説します。最後に、自社で検討するときに利用できるブランディング戦略テンプレートの項目も紹介します。
ブランディング戦略の構成要素
ブランディング戦略には、ターゲットや提供価値、ポジショニング、ブランドコンセプトなど、さまざまな要素があります。
Purpose、Mission、Vision、Valuesなどを設定する場合もありますが、すべてを新しく作る必要があるわけではありません。すでに企業理念や事業戦略が明確であれば、それらを活用する方法もあります。
重要なのは、フレームワークの項目数ではなく、市場、顧客、競合、自社の価値、ブランドとしての表現が一つの方向につながっているかです。
ブランディング戦略で整理したい主な要素
実務では、次のように整理すると全体像を把握しやすくなります。
| 領域 | 主な項目 | 整理すること |
|---|---|---|
| 目的 | プロジェクト目的 | なぜ今ブランディングに取り組むのか |
| 市場・顧客 | 市場、ターゲット、顧客課題、インサイト | 誰に価値を提供するのか |
| 自社・競合 | 強み、競合、代替手段 | 誰と比較され、自社に何があるのか |
| 提供価値 | Feature、Benefit、Reason to Believe | 顧客に何を提供できるのか |
| ポジショニング | POP、PODなど | 競合と比較してどの位置を目指すのか |
| ブランド表現 | コンセプト、パーソナリティ、Tone of Voice、VIなど | どのような言葉や視覚表現で伝えるのか |
| 展開・ブランド接点 | Web、営業、商品・サービス、広告、採用など | どの接点へブランドを反映するのか |
| 運用・評価 | ガイドライン、KPIなど | 一貫性や変化をどう確認するのか |
ブランディング戦略は、印象的なブランドコンセプトを一文作れば完成するものではありません。
たとえば「企業のDXを支える伴走パートナー」というコンセプトを掲げる場合でも、「どのような企業を対象にするのか」「伴走とは具体的に何をすることなのか」「競合と何が異なるのか」「なぜ自社なら提供できるのか」まで説明できる状態にする必要があります。
ブランディング戦略を作る目的を明確にする
最初に、「なぜブランディング戦略を作るのか」を整理します。
たとえば、競合との違いを説明しやすくしたい、企業イメージと現在の事業内容のずれを整理したい、営業・広報・採用で発信する内容をそろえたい、新規事業の価値を明確にしたいなど、取り組む目的は企業によって異なります。
「ブランドを新しくする」「Webサイトを刷新する」といった制作物を目的にするのではなく、現在抱えている課題と、ブランディングを通じて目指す状態をセットで考えることがポイントです。
たとえば、
「営業担当によってサービスの説明が異なり、競合との違いが伝わっていない状態から、自社の提供価値と選ばれる理由を共通して説明できる状態にする」
と整理すれば、その後の調査や施策の方向性も判断しやすくなります。
ブランディング戦略の作り方を7ステップで整理
すべての企業で共通する唯一の作成手順があるわけではありませんが、初めてブランディング戦略を整理する場合は、次のような流れで考えられます。
- ブランディング戦略を作る目的を決める
- 市場・顧客・競合・自社の現状を調査する
- ターゲットと顧客課題・インサイトを整理する
- 提供価値と、その価値を裏付ける根拠を整理する
- 競合との比較からポジショニングを決める
- ブランドコンセプト、パーソナリティ、表現方針を設計する
- Webや営業などのブランド接点へ展開し、評価・改善する
大きく分けると、調査 → 選択 → 言語化 → 表現 → 運用という流れです。
自社が伝えたいメッセージから考え始めるのではなく、顧客や競合を理解したうえで、自社がどの価値を提供するのかを選択することが重要です。
ターゲット・提供価値・ポジショニング・ブランド表現の整理法
ブランディング戦略の作り方で特に重要なのが、ターゲット、提供価値、ポジショニング、ブランドパーソナリティを一つの流れとして考えることです。
基本的には、
ターゲット → 顧客課題・インサイト → 提供価値 → 提供価値の根拠 → 競合との比較 → ポジショニング → ブランドコンセプト → ブランドパーソナリティ → 表現
という流れでつなげます。
それぞれを個別に決めると、「ターゲットは経営層なのにメッセージが実務担当者向けになっている」「競合とほぼ同じ価値を訴求しているのに独自のポジションとして表現している」といったずれが生じる可能性があります。
ターゲットは属性だけでなく課題や状況まで整理する
ターゲットを設定するとき、年齢や性別などの人物属性を細かく設定することだけが目的ではありません。
特にBtoBでは、業界や企業規模に加えて、どのような状況で検討を始めるのか、誰が情報を集め、誰が意思決定し、誰が実際に商品・サービスを利用するのかを整理すると実務で使いやすくなります。
たとえば次のように考えます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 企業属性 | 中堅規模のBtoB企業 |
| 状況 | コーポレートサイトを数年間更新していない |
| 課題 | サービスの違いや自社の強みを説明しにくい |
| 検討者 | マーケティング・営業企画部門 |
| 意思決定者 | 経営層・事業責任者 |
| 利用部門 | 営業・採用・広報など |
| 評価基準 | 実績、提案内容、対応範囲、費用など |
重要なのは、架空の人物像を細かく作ることではなく、自社が価値を提供したい相手と、その相手が置かれている状況を明確にすることです。
既存顧客がいる場合は、問い合わせ内容、商談記録、受注・失注理由、営業担当者へのヒアリング、顧客アンケートなども参考になります。
社内だけで作った顧客課題やインサイトは、最初から事実として扱わず仮説として整理し、顧客の声や行動と照らし合わせることも大切です。
提供価値は「特徴」と「顧客にとっての価値」を分ける
提供価値を整理するときに、「専任担当者制」「24時間対応」「全国対応」といった商品・サービスの特徴をそのまま並べてしまうことがあります。
しかし、特徴そのものと、顧客が得る価値は分けて考える必要があります。
たとえば「専任担当者がプロジェクトを管理する」という特徴がある場合、
Feature(特徴)
専任のプロジェクトマネージャーが進行を担当する
Functional Benefit(機能的便益)
複数の関係者との調整負担を減らせる
Emotional Benefit(情緒的便益)
専門家に相談しながら進められることで、判断に対する不安を減らしやすくなる
Reason to Believe(提供価値を裏付ける根拠)
専門人材の体制や実績、具体的な進行方法がある
というように整理できます。
Functional Benefit(機能的便益)
Functional Benefitとは、商品・サービスを利用することで得られる機能的・実用的な便益です。
業務時間を短縮できる、複数の作業をまとめて管理できる、担当者の作業負担を減らせるなどが該当します。
Emotional Benefit(情緒的便益)
Emotional Benefitとは、商品・サービスを利用することによって得られる心理的・感情的な価値です。
「専門家へ相談できるため判断時の不安を減らしやすい」「担当者が一人で問題を抱え込まずに済む」といった価値が考えられます。
Reason to Believe(提供価値を裏付ける根拠)
Reason to Believeとは、掲げている提供価値を「なぜ自社なら提供できるのか」という事実で裏付けるものです。
支援実績、専門資格、独自技術、専門人材、品質管理体制、顧客事例、支援の仕組みなどが代表例です。
「高品質」「専門性がある」「伴走力がある」といった抽象的な表現だけではなく、それを説明できる根拠まで整理することで、ブランディング戦略の説得力を高めやすくなります。
競合との比較からポジショニングを考える
提供価値を整理したら、それを競合との関係から確認します。
このとき、「他社と違うこと」だけを探すのではありません。
ポジショニングを考える際には、競合と異なる価値であるPoints of Difference(POD)だけでなく、その市場で選択肢として認識されるために必要なPoints of Parity(POP)も考えます。
たとえばWeb制作会社であれば、一定の設計力やデザイン力、開発力などは、顧客から比較対象として見てもらうための共通条件になる場合があります。
そのうえで、「特定の業界に専門性がある」「調査や戦略設計から支援する」「公開後の運用まで継続して対応する」など、自社が継続して提供でき、顧客にとって意味のある違いを検討します。
目指したいのは、
顧客にとって重要である×自社が継続して提供できる×競合との違いを説明できる
という領域です。
ブランドコンセプトはブランドの核となる考え方をまとめる
ターゲット、提供価値、競合との違い、ポジショニングを整理したら、それらをもとにブランドの核となる考え方を言語化します。
ブランドコンセプトは、ブランドが「誰に、どのような価値を提供し、どのような存在を目指すのか」を共有するための軸となる考え方です。
重要なのは、印象的な言葉を作ることだけではありません。ターゲットや顧客課題、提供価値、ポジショニングから導かれた内容になっている必要があります。
たとえば「企業のDXを支える伴走パートナー」というコンセプトを掲げるのであれば、「誰に対する伴走なのか」「どのような支援を行うのか」「競合と比べてどのような価値があるのか」「なぜ自社なら提供できるのか」を説明できる状態にします。
ブランドコンセプトを基準として、ブランドパーソナリティ、Tone of Voice、メッセージ、VI、Webサイトなどの表現へ展開することで、ブランド接点ごとの一貫性を保ちやすくなります。
ブランドパーソナリティは行動や表現まで決める
ブランドパーソナリティとは、ブランドを人にたとえた場合に、どのような人格的特徴を持つ存在として表現するかを整理する考え方です。
たとえば「誠実」「専門的」「明快」「親しみやすい」「先進的」といった言葉があります。
ただし、形容詞を決めるだけでは人によって解釈が異なります。
たとえば「誠実」であれば、「メリットだけでなく条件や制約も説明する」「確認できていない内容を断定しない」「価格や対応範囲を可能な限り明確にする」といった行動へ変換します。
また、言葉や会話でパーソナリティを表現する際には、Tone of Voice(トーン・オブ・ボイス)を整理する方法があります。
Tone of Voiceとは、ブランドとしてどのような語調や言葉遣いでコミュニケーションするかを定める方針です。
たとえば「明快」というパーソナリティであれば、Webサイトでは結論を分かりやすく示す、専門用語には説明を加える、営業資料では結論と理由を整理して提示するといったルールへ落とし込めます。
「専門的だが、難解ではない」「親しみやすいが、軽すぎない」など、どこまでが自社らしい表現なのか境界を整理する方法もあります。
ブランドパーソナリティを抽象的なイメージだけで終わらせず、言葉、デザイン、営業、接客などのブランド接点へ展開することが重要です。
各項目が一本につながっているか確認する
たとえば、架空のWeb制作会社で次のように整理したとします。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| ターゲット | Webサイト刷新を検討している中堅BtoB企業 |
| 顧客課題 | 制作会社ごとの違いや提案内容を社内で評価しにくい |
| インサイト仮説 | 社内で意思決定するための判断材料を求めている |
| 提供価値 | 要件・判断理由・費用を整理し、比較・判断しやすくする |
| Reason to Believe | 要件定義書、工程別見積もり、調査資料などを提供する |
| POP | Web戦略、デザイン、CMS構築などの制作能力 |
| POD | 制作物だけでなく、判断プロセスや理由まで可視化する |
| ポジショニング | Web制作の意思決定まで支援するパートナー |
| ブランドコンセプト | 判断しやすいWeb制作を支援する |
| ブランドパーソナリティ | 誠実、明快、専門的 |
| Tone of Voice | 専門用語を説明し、理由と根拠をセットで伝える |
ここで重要なのは、印象的な言葉を作ることではありません。
ターゲットの課題から提供価値を説明できるか、提供価値に根拠があるか、競合との比較からポジショニングを導けるか、そのポジショニングとブランドコンセプト、ブランド表現が一致しているかを確認します。
競合分析のやり方
ブランディング戦略における競合分析の目的は、競合のWebサイトやロゴ、キャッチコピーを真似することではありません。
顧客がどのような選択肢を比較し、それぞれがどのような価値を訴求しているのかを把握したうえで、自社がどの位置を目指すのか検討するために行います。
競合は直接競合だけで考えない
まず、顧客が比較する選択肢を整理します。
直接競合は、同じ顧客へ似た商品・サービスを提供している企業です。
間接競合は、異なる商品やサービスを使って同じ課題を解決している企業・サービスを指します。
さらに、外部サービスを利用せず「内製する」「既存の仕組みを使い続ける」「何もしない」といった代替手段もあります。
たとえばWebサイト制作であれば、Web制作会社だけでなく、ノーコードサービス、フリーランスへの依頼、社内制作、現在のサイトを維持する選択肢なども比較対象になり得ます。
同じ項目で競合を比較する
競合候補を決めたら、同じ条件で情報を整理します。
| 分析項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| ターゲット | 誰を主な対象としているか |
| 顧客課題 | どのような課題へ対応しているか |
| 商品・サービス | 何を提供しているか |
| 提供価値 | どのような便益を訴求しているか |
| 価格 | 公開されている料金・価格帯 |
| 根拠 | 実績、技術、専門性、体制など |
| メッセージ | どのような内容を中心に発信しているか |
| 表現 | デザイン、写真、言葉遣いなど |
| ブランド接点 | Web、営業、SNS、店舗、サポートなど |
公開されていない情報については推測で断定せず、公開情報で確認できる範囲を比較します。
3C分析で顧客・競合・自社を整理する
競合調査を行った後は、3Cを使って整理する方法があります。
Customer(顧客・市場)
顧客は何を求めているのか、どのような課題を抱えているのか、選定時に何を重視するのかを確認します。
Competitor(競合)
競合は誰を対象とし、どのような価値や強みを訴求しているのかを整理します。
Company(自社)
自社が継続して提供できる価値、顧客から評価されている点、それを裏付ける根拠を確認します。
3Cを使う目的は、表を完成させることではありません。
顧客が求めること、競合が提供していること、自社が提供できることの関係から、どの価値を選択するかを判断するために活用します。
必要に応じてSWOT分析を使う
SWOT分析では、自社のStrength(強み)、Weakness(弱み)と、外部環境のOpportunity(機会)、Threat(脅威)を整理します。
ブランディング戦略を検討する場合も、自社の強みをどの市場機会で活かせるのかを確認する材料になります。
ただし、SWOTも項目を埋めること自体が目的ではありません。
分析結果を「誰に」「どの強みを使い」「どのような価値を提供するのか」までつなげる必要があります。
ポジショニングマップは顧客視点で軸を選ぶ
競合との位置関係を視覚的に把握する場合、ポジショニングマップを作成する方法があります。
基本的には、
- 顧客から比較される競合を決める
- 顧客が比較すると考えられる評価軸を洗い出す
- 顧客情報や営業情報などから軸の妥当性を確認する
- 自社と競合の現在位置を整理する
- 目指すポジションを検討する
- その位置を実現できる根拠があるか確認する
という順番です。
「高品質/低品質」のような企業側で作りやすい軸ではなく、顧客が実際に比較している基準を使うことが重要です。
また、ポジショニングマップ上に競合が存在しない場所があっても、そこに顧客ニーズがあるとは限りません。
顧客が評価すること、自社が提供できること、その状態を継続できることまで確認したうえで目指す位置を判断します。
社内で作る場合と外部依頼の使い分け
ブランディング戦略は、必ずブランディング会社や制作会社へ依頼しなければ作れないものではありません。
社内には、自社の歴史、顧客との関係、技術、現場で蓄積されたノウハウ、組織文化、今後の経営方針など、外部から短期間では把握しにくい情報があります。
一方で、顧客調査や競合分析、経営層を含めた合意形成、ブランドコンセプトの言語化、VIやWebサイトへの展開などでは、外部の専門性や第三者視点を活用する方法もあります。
「内製か外注か」という二択ではなく、工程ごとに社内と外部の役割を分けると考えると整理しやすくなります。
社内で進めやすいケース
事業の方向性や顧客がある程度明確で、経営層が議論へ参加でき、営業データや顧客情報が蓄積されている場合は、社内でブランディング戦略の骨格を整理しやすくなります。
特に、自社の歴史や創業背景、技術、顧客との関係、現在の課題、今後の経営方針などは社内だからこそ把握できる情報です。
外部へ依頼する場合でも、これらの情報を提供し、最終的な方向性を判断するのは企業自身になります。
外部支援を検討しやすいケース
一方、次のような場合には外部支援を組み合わせる方法があります。
部署や経営陣によって意見が大きく異なる、顧客調査を本格的に実施したい、競合との違いを客観的に整理したい、新しい市場へ参入する、複数ブランドを再編する、社名やロゴ・VIを変更する、ブランディング戦略からWebサイトまで一貫して見直したいといったケースです。
第三者が入ることで、社内では当たり前になっている特徴についても、「顧客にとって本当に価値があるのか」「競合との違いとして成立するのか」といった視点から検討しやすくなります。
社内と外部で役割を分ける
一例として、次のように役割を整理できます。下表では、「◎」を中心となって担当する領域、「○」を社内外で連携しやすい領域、「△」を補助的に関わる領域として示しています。
| 項目 | 社内中心 | 外部支援を検討 |
|---|---|---|
| プロジェクト目的 | ◎ | ○ |
| 自社の歴史・強みの整理 | ◎ | ○ |
| 経営方針の決定 | ◎ | △ |
| 顧客調査 | ○ | ◎ |
| 競合分析 | ○ | ◎ |
| ワークショップ | ○ | ◎ |
| ブランディング戦略整理 | ○ | ◎ |
| コンセプト・コピーの言語化 | ○ | ◎ |
| VI・デザイン | △~○ | ◎ |
| Webサイトへの展開 | ○ | ◎ |
| 社内浸透 | ◎ | ○ |
実際の分担は、社内人材やプロジェクトの規模、依頼先の支援範囲などによって変わります。
外部パートナーは、自社のブランドを代わりに決める存在というよりも、調査、問いの設計、ファシリテーション、客観的な分析、合意形成、言語化、デザインなどを支援する存在として考えるとよいでしょう。
外部へ丸投げしないことも重要
外部へ依頼する場合でも、戦略の方向性まで完全に任せる方法には注意が必要です。
ブランドとして掲げた価値を実際に提供し、商品・サービスや顧客対応を通じて継続して体現するのは企業自身です。
外部が調査・分析・言語化・デザインを支援し、社内が自社情報を提供しながら経営判断や方向性の意思決定を担うなど、役割を明確にして進めることが重要です。
ブランディング戦略テンプレート
ブランディング戦略の作り方を理解したら、実際に自社の情報を書き出して整理します。
ゼロからWordやPowerPointへ項目を書き出そうとすると、「何から考えればよいのか」「どこまで整理すればよいのか」が分かりにくくなる場合があります。
そこで、ブランディング戦略テンプレートを利用すると、社内で考えるべき項目を可視化しやすくなります。
ただし、テンプレートの空欄をすべて埋めれば戦略が完成するわけではありません。
目的 → 顧客 → 課題 → 提供価値 → 根拠 → 競合 → ポジショニング → ブランドコンセプト → 表現
が一つの流れとしてつながっているかを確認するための道具として利用します。
ブランディング戦略テンプレートに入れたい項目
実務用のブランディング戦略テンプレートであれば、次のような項目を整理できます。
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| プロジェクト目的 | なぜ今ブランディング戦略を作るのか |
| 対象ブランド | 企業・事業・商品・サービスのどれか |
| 現状課題 | 現在どのような問題があるのか |
| 市場 | 市場・カテゴリーの状況 |
| ターゲット | 誰へ価値を提供するのか |
| 顧客課題 | ターゲットが抱える問題 |
| インサイト | 課題の背景にある動機・認識の仮説 |
| 競合・代替 | 顧客が比較する選択肢 |
| 自社の強み | 自社だから提供できるもの |
| Feature | 商品・サービスの特徴 |
| Functional Benefit | 機能的・実用的な便益 |
| Emotional Benefit | 心理的・感情的な価値 |
| Reason to Believe | 提供価値を裏付ける事実 |
| POP | 市場で必要となる共通条件 |
| POD | 顧客にとって意味のある違い |
| ポジショニング | 市場で目指す立ち位置 |
| ブランドコンセプト | ブランドの中心となる考え方 |
| ブランドパーソナリティ | どのような人格・印象で伝えるのか |
| Tone of Voice | 言葉・コミュニケーションの方針 |
| ブランドメッセージ | ブランドとして伝える中心的な内容 |
| ブランド接点 | Web、営業、商品、採用、SNSなど |
| 評価指標 | ブランドの状態を確認する指標 |
すべての企業がすべての項目を同じ粒度で作成する必要はありません。
まずは「誰に、どのような価値を、なぜ自社が提供するのか」を説明するために必要な項目から整理します。
ブランディング戦略テンプレートを埋める順番
テンプレートは上から機械的に埋めるのではなく、次のような流れで整理するとつながりを確認しやすくなります。
目的・現状
↓
市場・ターゲット
↓
顧客課題・インサイト
↓
競合・自社
↓
提供価値・根拠
↓
ポジショニング
↓
ブランドコンセプト・パーソナリティ
↓
Tone of Voice・メッセージ
↓
ブランド接点
↓
評価
先にキャッチコピーやデザインを決めるのではなく、顧客・競合・自社について整理してから表現へ進むことがポイントです。
ブランディング戦略テンプレートの記入例
たとえば、次のように整理します。
プロジェクト目的
営業担当によってサービスの説明内容が異なり、競合との違いが伝わっていないため、顧客へ伝える提供価値を統一する。
ターゲット
社内にDXの専門人材が不足している中堅企業の担当部門。
顧客課題
DXを進めたいが、業務整理や要件定義を社内だけで進めることが難しい。
提供価値
企画や業務整理から支援することで、社内の専門人材が限られていてもプロジェクトを具体化しやすくする。
競合との比較
開発工程を中心に支援するサービスと比較し、企画や要件整理の段階から対応する。
Reason to Believe
業務設計を担当する人材とシステム開発チームが同じプロジェクトへ参加する体制を持つ。
ポジショニング
事業と技術の両面からDXの企画段階を支援するパートナー。
ブランドコンセプト
複雑なDXを、事業と技術の両面から前進させる。
ブランドパーソナリティ
専門的、誠実、明快。
Tone of Voice
専門性を保ちながら、専門用語には説明を加え、結論と理由を分かりやすく伝える。
ブランドメッセージ
複雑なDXを、事業と技術の両面から整理する。
記入した後は、それぞれの項目を単体で評価するのではなく、「ターゲットの課題から提供価値を説明できるか」「提供価値に根拠があるか」「競合との比較からポジショニングを説明できるか」「ブランドコンセプトやブランドパーソナリティが実際の表現につながっているか」を確認します。
テンプレートは全部埋めることを目的にしない
ブランディング戦略テンプレートは、空欄をすべて埋めるためのチェックリストではありません。
たとえば「ターゲット:すべての企業」「強み:高品質」「パーソナリティ:信頼」と記入しただけでは、具体的な判断基準として使いにくくなります。
「誰にとって」「何と比較して」「なぜそう言えるのか」まで具体化することが重要です。
また、既存の企業理念が十分に機能しているのであれば、ブランディングのためだけにPurposeやMission、Visionなどを新しく増やす必要があるとは限りません。
フレームワークを使うこと自体を目的にせず、自社の課題に応じて必要なものを選びましょう。
本記事で紹介した市場・顧客・競合の整理から、ターゲット、提供価値、ポジショニング、ブランドコンセプト、ブランドパーソナリティ、Tone of Voiceまでをまとめたブランディング戦略設計テンプレートを活用すると、検討すべき内容を順番に整理できます。
まとめ
ブランディング戦略の作り方で重要なのは、最初にロゴやキャッチコピーを決めたり、複数のフレームワークを埋めたりすることではありません。
まず、ブランディングに取り組む目的を明確にし、市場、顧客、競合、自社の現状を整理します。そのうえで、ターゲットが抱える課題やインサイトを把握し、自社がどのような価値を提供できるのか、その価値を何によって裏付けられるのかを検討します。
さらに競合との比較からポジショニングを決め、ブランドコンセプトやブランドパーソナリティ、Tone of Voiceなどへ落とし込み、Webサイト、営業、商品・サービス、採用などのブランド接点へ展開していきます。
特に確認したいのは、
ターゲット → 顧客課題・インサイト → 提供価値 → 提供価値の根拠 → 競合との比較 → ポジショニング → ブランドコンセプト → ブランドパーソナリティ → 表現
が論理的につながっているかです。
ブランディング戦略テンプレートを利用するときも、空欄を埋めることをゴールにするのではなく、「誰に、どのような価値を、なぜ自社が提供し、それをどのように伝えるのか」について社内で共通した判断基準を持てる状態を目指しましょう。
策定したブランディング戦略は、資料としてまとめただけでは実際のブランド体験には反映されません。Webサイトや営業資料、商品・サービス、顧客対応などへ展開するとともに、実際にどのような認識が形成されているのかを確認しながら継続的に見直すことも重要です。
「ブランディング戦略を作りたいが、何から整理すればよいか分からない」「競合との違いや自社の提供価値を客観的に整理したい」「ブランディング戦略からWebサイトまで一貫して見直したい」といった場合は、ドコドア株式会社へご相談ください。
弊社では、Web制作やアプリ開発で培ったデジタル領域の知見をもとに、ブランドの方向性整理からWebサイトへの実装、公開後の集客・運用まで一貫して支援しています。現在の課題や目的を整理したうえで、必要な施策と優先順位をご提案します。
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