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Herokuとは?できること・AWSとの違い・料金をわかりやすく解説

上司が導入を検討していると言い出した。引き継いだ社内システムの裏側がHerokuで動いていた。Herokuの名前を知るのは、たいていこうした場面です。Heroku(ヘロク)とは、Salesforce(セールスフォース)社が提供しているクラウドプラットフォーム(PaaS)です。サーバーの構築や管理の手間を減らし、Webアプリケーションを公開・運用できます。

Herokuの開発・運用に3年携わってきた弊社が、仕組みとできること、AWSとの違い、料金、2026年2月の方針転換までを公式情報をもとに解説します。無料プランは2022年11月に廃止済みで、数年前の情報のままでは判断を誤ります。読み終えたときに、自社の要件に合うかを判断できます。

Herokuとは|サーバーを構築せずにアプリを公開できるPaaS

Herokuを使うとき、開発者がやることはコードを書いてHerokuに送るところまでです。あとはプラットフォーム側がアプリを動かす環境を組み立て、外部から見えるURLを割り当ててくれます。サーバーの調達、OSの導入、ミドルウェアの設定、SSL証明書の更新といった作業は発生しません。

PaaS(Platform as a Service)という区分は、賃貸物件にたとえると位置づけが見えてきます。更地を借りて建物から自分で用意するのがIaaS、内装まで済んだ部屋を借りて家具だけ持ち込むのがPaaS、家具も家電も付いた部屋にそのまま住むのがSaaSです。Herokuは真ん中にあたります。

Salesforceが提供していることは、公式サイトの「Heroku – from Salesforce」という表示からも分かります。インフラを触らずに公開まで到達できる。この一点が、Herokuが長く使われてきた理由です。

Herokuの仕組み|Dyno・Buildpack・アドオンの3つで読み解く

Herokuの用語は多く見えますが、費用と構成を判断するのに必要なのは3つだけです。

Dyno(ダイノ)は、アプリが動く軽量なコンテナです。Herokuの課金は、このDynoの大きさと数で決まります。Webからのリクエストを受け取るweb dyno、バックグラウンド処理を回すworker dynoというように、処理の種類ごとに割り当てます。1つのアプリでも、web用とworker用に2つ使えば、その2つ分の料金がかかります。

Buildpack(ビルドパック)は、送られてきたコードから言語を判別し、実行環境を自動で組み立てる仕組みです。Dockerfileを書かなくてもアプリが動くのは、これが裏側で働いているからです。

アドオンは、データベースや監視、メール配信といった機能を後付けする仕組みを指します。Heroku PostgresやHeroku Key-Value Storeが代表的で、コマンド1つで追加できます。ここも課金対象で、Dynoとは別に料金が発生します。

つまりHerokuの請求は、Dynoの料金とアドオンの料金の足し算です。「アプリ1つでいくら」という単価は存在しません。ここを取り違えると、見積もった金額と実際の請求がずれます。

Herokuでできること|対応言語と主な機能

Herokuが公式にサポートしている言語は9つです。Node.js、Ruby(Ruby on Railsを含む)、Python、Java、PHP、Go、Scala、Clojure、.NETが対象になります。一覧にない言語でも、Dockerイメージを送るか、カスタムBuildpackを用意すれば動かせます。

デプロイはGitのpushで完結します。GitHubと連携させれば、指定したブランチへのマージをきっかけに自動でデプロイする運用も組めます。プルリクエストごとに検証用の環境を立ち上げるReview Appsのように、レビュー工程を短くする機能も用意されています。

Salesforceを使っている企業向けには、Heroku ConnectやHeroku AppLinkという連携の仕組みがあります。Salesforce側のデータとアプリのデータベースを同期させたい場合の選択肢です。

生成AIを組み込みたい場合は、Heroku Managed Inference and Agentsが使えます。Claudeなど複数のモデルをトークン単位の従量課金で呼び出せるため、外部のAPIを別途契約せずに済むことがあります。対応モデルは追加も終了もあるので、導入時に公式の一覧を確認してください。

HerokuとAWSの違い|どこで選び分けるか

Herokuと比較されやすい選択肢は、大きく3つの型に整理できます。1つ目はAWSのEC2に代表されるIaaSで、サーバーそのものを借りて自分で構築します。2つ目はHerokuと同じPaaSで、RenderやRailway、Fly.ioが同じ型に属します。3つ目はVercelやAWS Lambdaのようなサーバーレスで、リクエストが来たときだけ処理を動かす方式です。

選び分ける軸は5つあります。インフラを誰が管理するか、初期構築にどれだけかかるか、規模が伸びたときの単価、設定の自由度、そしてデータを置ける地域です。この5つでHerokuとAWSを並べると、次のようになります。

比較軸 Heroku(PaaS) AWS(IaaS)
インフラの管理 プラットフォーム側が担当 自社または開発会社が担当
初期構築 短い 設計と構築の工程が必要
規模拡大時の単価 高くなりやすい 設計次第で抑えられる
設定の自由度 決められた範囲内 ほぼ制限なし
東京リージョンの利用 Private Spaceが必要 標準で選べる

最後の行は、日本の企業にとって特に効いてきます。Herokuの標準環境であるCommon Runtimeで選べるのは、米国と欧州の2地域だけです。東京リージョンはPrivate Spaceでのみ利用でき、その場合のDynoはPrivate-Sの月125ドルからになります。標準環境の最安プランは月5ドルなので、費用の桁がひとつ変わります。

もう1点、混同しやすい注意があります。公式ドキュメントは、アプリのリージョンを指定しても、Herokuの各種サービスやアドオンのデータ所在がその地域に限定される保証はないと明記しています。アドオン提供者がどこにデータを保管するかは、Heroku側の管理外です。データの所在に法令上の制約がある案件では、東京リージョンを選べば要件を満たせるとは考えないほうが安全です

他のPaaSと比べる場合は、機能の重なりが大きいため、料金と対応リージョン、移行のしやすさで見比べることになります。各サービスの仕様は変わりますので、実際の検討時は各社の公式サイトで確認してください。本記事の内容は2026年9月時点のものです。

Herokuの料金プラン|無料プラン終了後、実際にいくらかかるか

Herokuの無料プランは2022年11月28日に廃止されました。対象は無料のDyno、無料のHeroku Postgres、無料のRedis(現在のKey-Value Store)です。既存の無料Dynoは、停止された状態のEco Dynoに変換されました。

現在のDynoプランは次のとおりです(2026年9月時点、Cedar世代)。

プラン 月額 RAM 特徴
Eco 5ドル 0.5GB 1,000時間をアカウント内で共有。30分アクセスがないとスリープ。
個人アカウント専用
Basic 7ドル 0.5GB 常時稼働。無料SSL。プロセスタイプは10まで
Standard-1X 25ドル 0.5GB 水平スケール、メトリクス、Prebootに対応
Standard-2X 50ドル 1GB Standard-1Xと同機能でメモリが2倍
Performance-M 250ドル 2.5GB 専有リソース、オートスケーリング
Performance-L 500ドル 14GB Performance-Mより大容量

Dynoとアドオンの料金は秒単位で日割りされます。表の金額は、1か月フルに動かした場合の上限額と考えてください。

見落としやすいのがEcoの1,000時間です。1つのアプリを24時間動かし続けると月およそ720時間を消費するため、常時稼働のアプリを2つ持つと枠を超えます。Ecoは安い常時稼働プランではなく、使っていない間は眠らせる前提のプランです。

もう1つの注意点は、料金がリソースごとに積み上がることです。web dyno、worker dyno、データベース、キャッシュはそれぞれ別に課金されます。Heroku PostgresはEssential-0が月5ドル、Essential-1が月9ドル、本番向けのStandard-0が月50ドル。Key-Value StoreはMiniの月3ドルからです。

たとえば検証用に「Basic dyno 1つ+Postgres Essential-1」なら月16ドルで収まります。一方、本番でweb dynoをStandard-1Xで2つ、worker dynoを1つ用意したとします。データベースをPostgres Standard-0にすると、この構成だけで月125ドルです。ステージング環境を同じ構成で用意すれば、さらにもう一式ぶんが乗ります。

金額は変更されることがあるため、検討時は公式の料金ページで確認してください。

Herokuを使うメリットとデメリット

メリットは大きく3つあります。

1つ目は、立ち上がりが速いことです。サーバーの設計と構築という工程がまるごと減るため、開発の見積もりからインフラ構築の項目が小さくなります。作りたい機能の検証を先に進めたい段階では、この差が効きます。

2つ目は、運用にかかる人手が少ないことです。OSの更新やSSL証明書の更新はプラットフォーム側で処理されます。専任のインフラ担当を置けない体制でも、アプリの運用を続けやすくなります。

3つ目は、Salesforceとの近さです。すでにSalesforceで業務を回していて、その周辺にアプリを作りたいなら、連携の選択肢が最初から用意されています。

デメリットも3つあります。

まず、規模が大きくなるほど費用面の差が開きやすくなります。Herokuの料金には、インフラの管理を肩代わりしている分が含まれています。同じスペックをIaaSで自分たちで組んだ場合と比べると、Dynoの単価は高めです。トラフィックが増えてDynoを増やす局面で、この差が金額として表面化します。

次に、アドオンを前提にした構成は移行しづらくなります。Heroku独自の仕組みに合わせて作り込むほど、別の基盤へ移すときの作業量が増えます。

最後が、先ほど触れた地域とデータ所在の制約です。国内にデータを置く要件がある案件では標準環境で対応できず、Private Spaceを使ってもアドオンまで含めた所在までは保証されません。

デメリットから目を背けても、運用が始まってから必ず表面化します。判断の前に、3年後の規模で月額がいくらになるかを一度計算しておくと、あとから慌てずにすみます。あわせて、次に触れる2026年2月の発表も判断材料に入れてください。

2026年2月の方針転換|新機能の追加より安定運用へ

2026年2月6日、Herokuは公式ブログで開発体制の転換を発表しました。sustaining engineering model、つまり維持運用に専念する体制への移行です。今後は新機能を追加することよりも、安定性、セキュリティ、信頼性、サポートを重視するという内容です。

発表では、すでに使っている利用者への影響も明記されています。クレジットカードで支払っている顧客は、新規・既存を問わず、料金や課金、サービス内容に変更はありません。アプリケーション、パイプライン、Team、アドオンといった中核機能も影響を受けず、本番の業務システムをこれまでどおり載せ続けられるとされています。

変わるのは、新規顧客向けのEnterprise Account契約が提供されなくなる点です。既存のEnterprise契約とサポート契約は引き続き履行され、更新もできます。理由としては、投資を企業向けAIの構築・展開の領域へ集中させることが挙げられています。

これから採用するかを判断する立場では、この発表の読み方が分かれ目になります。プラットフォームが止まるわけではなく、公式には本番運用に耐えるプラットフォームとして位置づけられたままです。一方で、新しい機能が増えていくことを前提にした計画は立てにくくなります。数年単位で機能の追加を織り込みたい案件では、この点を先に確認しておく必要があります。

なお、2025年に一般提供が始まったKubernetesベースの新世代基盤Firは、この発表より前のものです。FirはPrivate Spaces向けの基盤で、Cedar世代のCommon Runtimeとは利用条件が異なります。小規模に試す段階では、Common RuntimeのCedar Dynoから検討するほうが手順が少なくてすみます。

Herokuの始め方|デプロイまでの5ステップ

実際に触ってみると理解が早いので、最短の手順を示します。

  1. Herokuのアカウントを作る。無料プランがないため、支払い方法の登録が必要です
  2. Heroku CLIをインストールする。ターミナルからHerokuを操作するツールです
  3. アプリの入れ物を作る
  4. コードを送る
  5. データベースなどのアドオンを追加する
heroku login
heroku create my-first-app
git push heroku main
heroku addons:create heroku-postgresql:essential-0

pushが終わるとビルドとデプロイが自動で走り、公開URLが表示されます。最初の1つを動かすところまでは、それほど時間はかかりません。

CLIを使わない方法もあります。Herokuの管理画面でGitHubのリポジトリを選び、対象のブランチを指定すれば、以降はマージのたびに自動でデプロイされます。実際の案件では、この後に独自ドメインの設定、環境変数の登録、ログ監視の追加といった作業が続きます。

Herokuが向いているケース・向いていないケース

向いているのは、早く動くものを世に出したい場面です。新規サービスの検証、社内向けの業務ツール、期間限定のキャンペーンサイトなど、規模が読めない、あるいは大きくならないと分かっているものと相性がよくなります。Salesforceを軸に業務を回している企業も、連携の面で候補に入ります。

判断が要るのは、大量のアクセスを長期間さばき続けるシステムです。性能そのものは上位プランで対応できますが、Dynoを増やすほど単価の差が効いてきます。規模がすでに読めているなら、必要なDyno数と数年分の運用コストを試算し、IaaSと比較してから決めてください。一方、データの所在に制約がある案件や、ネットワークを細かく制御したい案件は、標準環境では要件を満たせません。

弊社でも、スマートフォンアプリの裏側にあたるAPIやデータベース、定期実行の処理をHerokuに載せて、3年近く本番運用してきました。実際に効いたのは、プルリクエストごとに検証環境が立ち上がるReview Appsと、ログの監視をSlackへの通知に集約できる構成です。一方で、リクエストが30秒でタイムアウトする制約には、非同期処理に切り出すなど設計側での対応が必要でした。運用してわかったことはHeroku本番運用3年の学びにまとめています。

Herokuについてよくある質問

Herokuはいまも無料で使えますか

使えません。無料プランは2022年11月28日に終了しました。現在の最安はEco Dynoの月5ドルで、こちらもアカウント登録時に支払い方法の登録が必要です。

Herokuは日本語に対応していますか

管理画面は英語が中心です。公式ドキュメントのDev Centerには日本語化されたページもありますが、すべてが日本語になっているわけではありません。アプリ側で日本語を扱うことに制限はありません。

個人開発だと月いくらかかりますか

Eco Dynoとデータベースを1つずつなら月10ドル、常時稼働させたいならBasic Dynoに切り替えて月12ドルが目安です。ここに監視やメール配信のアドオンを足すと、その分が上乗せされます。

Herokuはサービスを終了するのですか

終了は発表されていません。2026年2月に、新機能の開発を行わず安定性とサポートの維持に専念する体制へ移ると公式に発表されました。同時に、本番運用に耐えるプラットフォームとして提供を続けるとも明記されています。ただし新規のお客様向けには、Enterprise Account契約が提供されません。

Herokuを選ぶ前に確認したい6項目

読み終えた段階でやることは、自社の条件をHerokuの制約に当てて確かめることです。次の6つに答えられれば、採用するかどうかの判断はほぼ付きます。

  • 本番で想定するアクセス数と、必要なDynoの数を出したか
  • データを国内に置く要件があるか(あるならアドオンのデータ所在まで確認する)
  • web dyno、worker dyno、データベース、ステージング環境を合計した月額を出したか
  • 3年後の規模でも、その単価で成立するか
  • 別の基盤へ移す必要が出た場合、どこが作り直しになるか把握しているか
  • 今後Herokuに新機能が追加されない前提でも、計画が成立するか

3つ目と4つ目で金額が想定を超えた場合は、構成そのものを見直したほうが早いことがあります。要件を伺えば、PaaSとIaaSのどちらが合うかを含めてご提案できます。判断に迷う段階でしたら、一度ご相談ください。

ドコドア やまだ

ドコドア やまだ

Webサイトの構築・UI改善・SEO設計を中心に、WordPressやShopifyを使ったWeb制作に携わっています。
現在はアプリ開発にも取り組み、Web・アプリの両面から使いやすいサービスづくりを目指しています。
このブログでは、制作・開発の現場で得た気づきやノウハウ、Web・アプリ開発、AI活用に関する情報を発信しています。

【主な技術スタック】 PHP / HTML / CSS / SCSS / JavaScript / WordPress / Shopify / Dart / Flutter

また、SNSでもWeb制作やAI活用に関する情報を発信中です。
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