- アプリ開発
アプリ開発の流れを詳しく解説! 4つの手順と注意しておきたいポイント

近年の急速なデジタル化に伴い、スマートフォンの普及とともに、多くの企業や個人が自社サービスやビジネスモデルをアプリ化し、新たな収益やブランドイメージの向上を図ろうとしています。アプリ開発を成功させ、収益や集客の増加に繋げるために大切なのが、アプリ開発の流れを正しく理解することです。アプリ開発の流れを具体的に理解しておけば、開発工程での手戻りを防ぎ、効率よく高品質なアプリをリリースすることができます。
本記事では、アプリ開発に欠かせない各工程の具体的な手順と注意しておきたいポイントを解説します。さらに、スムーズに進めるためのポイントや起こりがちな課題の解決方法にも触れながら、アプリ開発を成功させるために必要な知識を詳しくお伝えします。
目次
アプリ開発の流れの全体像
アプリ開発の流れは、主に4つの大きな工程に分けられます。
- 企画と要件定義:ユーザーニーズや市場調査からコンセプトをまとめ、アプリの機能・目標を明確化する。
- 設計とデザイン:画面構成やUI、バックエンドのデータベースやAPI仕様を設計し、具体的なアプリを形にする。
- 開発とテスト:実際にプログラムを実装し、動作確認やバグ修正を繰り返すことで品質を向上させる。
- リリースと運用保守:ストア審査を通してユーザーに提供し、継続的にバグ修正や機能追加を行いながらサービスを成長させる。
次に各工程を詳しく解説していきます。
1.企画と要件定義
まずは企画段階でビジネスゴールやターゲットユーザー、競合分析を行い、アプリの基本方針を固めます。その後、要件定義で機能一覧や画面遷移の構成を作成し、開発チームやステークホルダー間で合意を得ます。
1-1.企画
・市場調査とユーザーニーズ分析
:競合アプリやトレンドをリサーチし、自社アプリがユーザーにどのような付加価値を提供できるか検討します。検討したニーズに合わせたペルソナを設定し、潜在的な課題や望んでいる機能を洗い出します。
・目標設定と機能要件の優先度付け
:アプリを通じて達成したい目標(売上増、会員数増など)を明確にします。明確にした目標を達成するために必要となる機能を洗い出します。重要度や実装難易度などの観点から、初期リリースで搭載すべき必須機能と追加機能を区分します。
1-2.要件定義
・ 画面遷移図・ワイヤーフレームの作成
:ユーザーがアプリ内でどのように操作を進めるかを視覚化するために画面遷移図を作成します。また、ワイヤーフレームも同時に作成し、機能配置やレイアウトの大枠をステークホルダー間で認識を共有できるようにしましょう。
・仕様書の作成と関係者との合意形成
:仕様書内の要件定義書に、決定した機能の詳細や動作要件(サーバー仕様、通信プロトコルなど)を記載します。仕様書をステークホルダーと共有し、完成イメージやスコープを明確にすることで開発工程での方向性のブレを防ぎます。
2.設計とデザイン
要件定義で洗い出した機能を設計図として落とし込みます。ここではUI/UXデザインの作成やデータベース構造、API連携の設計など、アプリの“骨格”を明確化します。
2-1.設計
・データベース・API設計
:テーブル構造や正規化、データ型を選定し、データベースを設計します。バックエンドとフロントエンドの通信方法を定義し、認証やエラー処理などを明確化します。
2-2.デザイン
・ UI/UXデザインの方針決定
:デザインガイドラインを作成し、色使いやフォント、ブランドイメージを統一します。作成したガイドラインをもとに、Adobe XD、Figmaなどでインタラクティブなプロトタイプを作り、操作感を確認していきます。
3.開発とテスト
アプリの骨格が明確になった後は、実際に設計に基づいてプログラミングを行い、アプリを動かしていきます。実装が進むごとにテストを行い、不具合があれば修正を繰り返します。単体テストや結合テストだけでなく、総合テストやユーザーテストを実施し、品質を高める作業が欠かせません。
3-1.開発
・実装作業とプロジェクト管理
:Swift、Kotlin、React Native、Flutterなどの中から開発したいアプリに合わせて実装言語・フレームワークを選定します。プロジェクトの管理方法にはスプリントと呼ばれる短い開発サイクルを回し、段階的に機能を追加・改善する「アジャイル開発」と大規模プロジェクトで工程を明確に分け後戻りを抑える「ウォーターフォール開発」の2種類があります。こちらも開発したいアプリに合わせて決定すると良いでしょう。
・コミュニケーション体制とコードレビュー
:定期ミーティングを行い、進捗報告やタスク調整、問題点を共有しながら進めていきましょう。GitHubやGitLabなどのプルリクエスト機能を活用してコードレビューを行い、品質向上と属人化防止に努めましょう。
3-2.テスト
・単体テスト、結合テスト
:各モジュールやクラス単位で正常に動作するかを確認する単体テストを行ったのち、
モジュール同士を組み合わせたときの不具合やデータ不整合を洗い出す結合テストを行い、アプリが正常に動作するか検証していきます。
・ユーザビリティテストと総合テスト
:ユーザビリティテストで実際のターゲットユーザーに触れてもらい、操作性や画面遷移の快適さを検証します。ユーザビリティテストをもとに改善を重ねたら、本番環境に近い状態で、アプリ全体のシナリオを通して総合テストを実施します。
4.リリースと運用保守
アプリの品質に問題がなければ、いよいよApp StoreやGoogle Play等のアプリストアへの申請を通してリリースします。リリース後も定期的なアップデートや障害対応が必要となり、ユーザーのフィードバックを活かして機能追加・改善を続けることが、アプリ成功のカギとなります。
4-1.リリース
・ストア審査
:iOS(App Store Connect)では審査期間は数日〜1週間程度が目安です。
Android(Google Play Console)では審査自体は比較的短い場合が多いですが、要件に合致しないと公開が停止される可能性もあります。提供予定の媒体に合わせて余裕を持って審査を行いましょう。
・リリース後の初期運用とフィードバック収集
:ストアレビューやSNSでの反応を確認し、ユーザーレビューをモニタリングします。初期バグが見つかった際には、早急に修正してアップデートを行いましょう。
4-2.運用保守
・バグ修正と機能拡張
:外注の場合、リリース後の保守を含めた契約形態が多いですが、契約に含まれていない場合は保守契約の締結を行いましょう。バグの修正は優先度を考慮し、大きな影響があるものから行い、小さなバグや改善は後回しでも問題ありません。
・データ分析と継続的アップデート
:アクセス解析を行い、ユーザーの利用状況や離脱ポイントを把握し、改善策を検討します。ユーザーフィードバックや競合分析を通じて、新機能やUI刷新など定期的にアップデートを実施することで利用者の定着率を上げることができます。
アプリ開発を円滑に進めるための準備
先ほど紹介した流れをもとに実際のアプリ開発を行う前に、開発体制や技術選択、スケジュールと予算の策定など、事前に決定しておく事項がいくつかあります。事前準備をしっかりと行うことで、スムーズな開発や開発中の修正を減らすことができます。
◯開発体制の決定
アプリを開発する体制には主に以下の3種類が考えられます。
・内製:自社のエンジニアやデザイナー、プロジェクトマネージャーでチームを作る
・外注:開発会社やフリーランスに部分的または全体を委託する
・ハイブリッド:要件定義やデザインは自社、実装は外注といった組み合わせ
開発規模や社内リソース、予算に応じて最適な体制を選択しましょう。外注する場合は、予算だけでなく、実績確認やリリース後のサポート体制も加味し、複数のパートナー候補を比較検討するとよいでしょう。
◯使用する技術とプラットフォームの決定
アプリには大きく分けて3つの種類が存在します。それぞれの開発手法や利用技術、対応する目的に応じて異なる特性を持つため、それぞれの特徴を明確に理解し、自身の開発目的や利用可能なリソースと照らし合わせて最適な選択を行うことが重要です。
・ネイティブアプリ開発:iOS(Swift/Objective-C)、Android(Kotlin/Java)
・ハイブリッドアプリ開発:React Native、Flutter、Ionicなど
・Webアプリ:PWA(Progressive Web App)などのブラウザベース
ここではアプリの3つの種類を簡単に解説しましたが、もっと詳しく知りたい!という方は、合わせてこちらの記事もご確認ください。
アプリ開発・作り方の手順!初心者が押さえる基本からリリースと運用の流れを徹底解説!
◯スケジュールと予算の決定
開発を円滑に進めていくには適切なスケジュールや予算を設定することが重要です。
・マイルストーンの設定:企画完了、要件定義完了、開発完了、リリースなどの節目を設定し、進捗を管理
・予算の見積もり:人件費・ツール費・サーバー費・検証端末など、必要経費を洗い出す
・リスク管理:遅延リスクや追加要件に備えて、バッファを用意しておく
十分な余裕を持っておかないと、開発途中での仕様変更や予想外のトラブルによって大幅なスケジュール遅延や費用オーバーが発生することもあります。開発に関わる各所と相談しながら、余裕を持ったスケージュールと予算で開発を行いましょう。
アプリ開発を成功させるために気をつけたいポイント
スムーズな開発を行い質の高いアプリを作るためには、いくつかの要点を押さえておく必要があります。
◯MVPとスモールスタートの重要性
MVP(Minimum Viable Product)とは必要最低限の機能だけでアプリをリリースし、ユーザーの反応を見ながら追加開発していく手法です。スモールスタートを意識することで、いきなり全機能を盛り込むよりもリスクを抑え市場投入することができます。
初期リリースで大規模な予算を使ってしまうと、仕様変更やバグ対応に追われてしまい、開発がスケジュール通りに進まないリスクが高まります。
◯プロトタイプとユーザーテスト
ワイヤーフレームにインタラクションを付けた簡易的なデモアプリをプロトタイプとして用意し、操作感を検証しましょう。また、ターゲット層に実際に使ってもらうユーザーテストを行い、UI/UXや機能面でのフィードバックを早期に得ることも重要です。
ユーザーテストを早い段階で行うことで、大きな方向性のミスマッチを防ぐと同時に、不要な機能や不要なデザインを取り除くことができます。
◯コミュニケーションツールの活用
アプリのスムーズな開発には開発チーム内でのこまめな状況共有が重要ですSlackやTeamsなどでのコミュニケーションツールで気軽に質問や連絡を取り合うことを意識しましょう。
また、Trello、JIRA、Backlogなどのプロジェクト管理ツールでタスクや進捗を“見える化”することも有効です。
特に外注やリモートワークのチームの場合、スムーズなコミュニケーションが品質や納期を大きく左右します。
◯リスクマネジメントとスケジュール調整
仕様変更、バグの多発、リソース不足など、起こり得るリスクを洗い出すリスク分析は必ず行いましょう。また、アプリ開発に不測事態はつきものです。余裕を持ったスケジュールを設定し、緊急対応に備えましょう。 問題発生時には、優先度の高いタスクから対応し、リリースに大きく影響しない部分は後回しにすることもスケジュール調整の手段のひとつです。
アプリ開発を妨げるよくある課題と対処法
どれだけ念入りに計画しても、アプリ開発を妨げる不測の事態は発生し得ます。以下では、よくある課題とその対処法を紹介します。
◯仕様変更が多発する
・課題:要件定義後に新たな機能追加や方向性の変更が頻繁に起こり、当初の予定よりも開発期間と予算が膨らむ
・対処法:MVP戦略で初期リリースを限定的な機能に留め、仕様変更は後期フェーズの拡張として扱いましょう。
◯要件定義の不備で工数が増大
・課題:最初の要件定義が曖昧で、開発途中になって大きな仕様の整合性が取れなくなる
・対処法:要件定義の段階で画面遷移図やワイヤーフレームを詳細に作成し、関係者全員が共通認識を持てるように合意形成を行いましょう。
◯運用フェーズの見通し不足
・課題:リリース後の運用・保守体制やコストを考慮せず、リリース時点で予算やリソースが枯渇してしまう
・対処法:開発の初期段階から運用・保守費用やアップデート計画を織り込み、長期的な視点でプロジェクトを設計しましょう。
まとめ|アプリ開発はドコドアまで
今回は、アプリ開発の流れや注意したいポイントについてご説明しました。アプリ開発の流れを明確に理解することで、プロジェクトの成功確率を大きく高めることができます。企画・要件定義・設計・開発・テスト・リリース・運用保守といった各工程で必要な作業や注意点を把握することで、手戻りやトラブルを最小限に抑えられるでしょう。
また、アプリ開発は単に“作って終わり”ではなく、リリース後も継続的に改良を加え、ユーザー体験を向上させていく長期的なプロセスです。この記事で紹介したアプリ開発の流れの手順と注意点を意識しながら、チーム一丸となってプロジェクトに取り組めば、高品質なアプリをより効率的に世の中へ送り出すことができるでしょう。
しかし、「開発の具体的な流れは分かったけど、実際にアプリ開発を自社でできるのだろうか…」と不安を感じる方も多いはずです。
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