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今さら聞けない!大学生のための生成AI講座④ ChatGPT画像生成入門:基礎知識から30分で完成するサークルチラシ制作術

今回は生成AI講座第4弾ということで、これまでの講座では、主にテキストベースの生成AIの活用法について解説してきました。しかし、現代の生成AIの能力は、文章作成だけに留まりません。第4弾となる今回は、ついにクリエイティブの領域へ踏み込み、ChatGPTの「画像生成機能」に焦点を当てます。
多くの大学生の皆様は、サークル活動やイベントの宣伝チラシを作る際に、デザインスキルがないことで困った経験をお持ちではないでしょうか。
そこで今回は、サークルのチラシ作りを題材として、ChatGPTの画像生成機能を検証してみようと思います。従来であれば、デザインソフトの習得に数時間から数日を要していたチラシ制作が、生成AIを活用することで劇的に短縮できるのです。
今回の目標は、ChatGPTを使うことでたった30分でサークルのチラシを完成させることです。デザイン初心者の方でも、プロンプト(指示文)の書き方を覚えれば、見栄えの良いチラシを短時間で作成できるようになります。生成AIの可能性を実際に体験していただき、皆様の学生生活をより豊かにするきっかけとなれば幸いです。
目次
ChatGPTの画像生成機能とは?
生成AIは、大量の画像データを学習し、自然言語(私たちが普段使っている言葉)で指示(プロンプト)を与えるだけで、オリジナルの画像を生成できる点にあります。
例えば、ChatGPTに「雪山を滑るスノーボーダーのイラスト、アニメ風画像生成」と入力するだけで、この通りの画像を瞬時に描き出してくれます。
ChatGPTの画像生成機能は、「4o Image Generation」という画像生成のモデルを使用しています。テキストで画像の内容を指示するだけで、AIが自動的に画像を生成してくれる革新的な技術となっています。
この機能の最大の特徴は、単純なイラストの生成だけでなく、文字入りのポスターやチラシなどのデザイン性の高い画像も作成できることです。従来、このようなデザイン作業にはPhotoshopやIllustratorなどの専門ソフトの習得が必要でしたが、ChatGPTを使えば自然言語での指示だけで高品質な画像を生成できます。
生成回数と商用利用について
ここで、実用にあたって重要な二つの点、利用回数と権利関係について解説します。
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利用回数の制限
- 無料版ユーザー: 最新モデルであるGPT-4oの登場により、無料版ユーザーでも画像生成機能を利用できるようになりました。ただし、一定時間内に利用できる回数には制限が設けられています。具体的な回数は公式には明言されていませんが、制限に達すると一時的に利用できなくなり、時間経過で回復する仕組みです。実際に私がやってみたところ1日5枚で制限が来てしまいました。
- 有料版ユーザー(ChatGPT Plusなど): 有料プランのユーザーは、公称上限なし(実質無制限)で画像を生成できます。頻繁に、あるいは大量に画像を生成したい場合は、有料プランへの加入を検討する価値があるでしょう。
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生成した画像の権利と商用利用
- 結論から言うと、ChatGPT(4o Image Generation)で生成した画像の著作権はユーザーに帰属し、商用利用も可能です。これはOpenAIの利用規約に明記されています。
- つまり、サークルのチラシに利用するのはもちろん、個人で制作したグッズの販売や、企業の広告に利用することも原則として問題ありません。
- ただし、注意点も存在します。他者の著作権を侵害するようなプロンプト(例:「有名キャラクター『〇〇』がスノーボードをしている絵」)で生成した画像や、実在の人物に酷似した画像を無断で公開・利用することは、権利侵害にあたる可能性があります。生成AIの自由度の高さを享受するためにも、社会的な倫理と法律を遵守する意識が不可欠です。
ChatGPTで文字入れ画像を作る際の注意点
ChatGPTは驚くほど高品質な画像を生成しますが、特に「文字」を含むデザインを作成する際には、いくつかの「クセ」があり、注意が必要です。ここでは代表的な2つの問題とその対策を解説します。
3-1.文字化けについて
【現象】 チラシに「SNOW SPIRITS」といったサークル名やキャッチコピーを入れるよう指示しても、スペルが間違っていたり、意味不明な記号になったりする「文字化け」が発生することがあります。
【原因】 この現象は、画像生成AIが「文字」を「意味を持つ記号」としてではなく、「図形や模様の一種」として認識・描画しているために起こります。特に、複雑な漢字や画数の多い文字、小さいフォントサイズでの表現は苦手とする傾向があります。
【対策】
- 文字を大きく、シンプルにする: プロンプトで「大きく、はっきりとしたゴシック体で」「タイトルは大きく中央に配置」のように、文字のサイズやスタイルを具体的に指示します。
- 英語や簡単な日本語に限定する: 複雑な漢字よりも、アルファベットやひらがな、カタカナの方が正確に出力されやすい傾向があります。
- 文字数を少なくする: 一度に出力させようとする文字量が多いと、エラーが発生しやすくなります。キャッチコピーなどを数回に分けて生成・配置するよう指示するか、後述する「裏技」を検討しましょう。
3-2.文字のはみ出し・レイアウト崩れについて
【現象】 「チラシの上部にタイトルを配置して」と指示しても、文字が画像の端で切れてしまったり、意図しない場所に配置されたりするケースです。
【原因】 これも文字化けと同様に、AIがレイアウトの厳密な構成よりも、全体の雰囲気や構図を優先して画像を生成するために発生します。特に「端」「隅」といった曖昧な指示は、解釈の幅が広がり、意図しない結果を招きやすくなります。
【対策】
- 余白(マージン)を確保するよう指示する: 「全体の周囲に15%の余白を設けて」「テキストは画像の端から離して配置」のように、具体的な数値や指示で余白を確保させると、文字がはみ出すリスクを低減できます。
- 中央揃えを基本とする: 最も安定してレイアウトを制御できるのが「中央揃え」です。「すべての要素を中央揃えで配置」と指示することで、バランスの取れた構図になりやすくなります。
これらの注意点を踏まえることで、AIの「クセ」を理解し、より意図に近い画像を生成することが可能になります。
実践編 :30分でチラシを作る方法
お待たせいたしました。ここからは、実際に手を動かしながらチラシを作成するプロセスを、6つの具体的なステップに沿って体験していきます。AIとの対話を通じて、試行錯誤しながらゴールを目指す臨場感を感じてみてください。
ステップ1:チラシに記載する情報の整理
何よりもまず、チラシに掲載すべき情報を明確に整理します。情報が整理されていないと、AIへの指示も曖昧になってしまいます。
【サークル概要】
- サークル種別: スノボサークル
- サークル名: SNOW SPIRITS
- キャッチコピー: 雪の上が、最高のキャンパス。
- 基本情報:
- 大学公式サークル
- 在籍100名以上
- シーズンは週1でゲレンデに行きます
- オフシーズンは月1でレクリエーション
- 入会金:年1000円
- 連絡先: 公式XのDMまで
ステップ2:デザインの基本要件を定義する
次に、デザインの骨格となる技術的な仕様を決定します。
- 画像サイズ: A4サイズ(縦長)
- 出力形式: jpg
- テーマカラー: 青と白 を基調とする
ステップ3:最初の指示(プロンプト)と出力
準備が整いました。まずは整理した情報をそのままChatGPTに伝えて、チラシの生成を依頼してみましょう。
【プロンプト例】
注意すること:画像比率A4・出力形式jpg ・テーマカラーの指定:青と白
サークル概要
スノボサークル
サークル名:SNOW SPIRITS
キャッチコピー:雪の上が、最高のキャンパス。
情報
大学公式サークル・在籍100名以上
シーズンは週1でゲレンデに行きます
オフシーズンは月1でレクリエーション
入会金:年1000円
連絡は公式XのDMまでチラシを生成してください
出力結果
白い背景に青い文字で情報がただ箇条書きに並んでいるだけの、非常にシンプルなチラシ画像が出力されましたが、これでは流石に味気ないですよね。
ステップ4:プロンプトの改良と「新たな壁」
ステップ3の結果を踏まえ、AIにもっとクリエイティビティを発揮してもらうために、プロンプトを大幅に改良します。ここでは「役割を与える」というテクニックを使います。
プロンプトを修正して先頭に”あなたはプロのデザイナーですもっとこだわったイラストみたいにして ”という文言を付け加え再生成します。
出力結果
イラストのクオリティは、まさに「プロの仕事」と言えるレベルまで向上しました。しかし、その代償として、第3章で解説した「文字化け」という新たな壁にぶつかってしまいました。特にデザイン性が高くなると、AIは文字を「模様」として描画する傾向が強まり、この問題が発生しやすくなります。
ステップ5:最終手段① – AIによる画像修正(文字の削除)
この頑固な文字化けを解決するための、最も確実な方法が「分業」です。まず、AIに最高の「背景」だけを作成させます。ステップ4で生成された画像は非常に魅力的でした。あの画像の文字だけを消すように指示を出しましょう。
生成された画像を選択し”全ての文字を削除して全く同じイラストを出力してください”指示します。
出力結果
ステップ6:最終手段② – Canvaで仕上げて完成!
手に入れた文字なしの画像をPCにダウンロードし、無料デザインツール「Canva」を開きます。
- Canvaにダウンロードした画像をアップロードします。
- Canvaの「テキスト」機能を使って、ステップ1で整理した情報を入力していきます。
- キャッチコピー: 雪の上が、最高のキャンパス。
- サークル名: SNOW SPIRITS
- 各種情報
- フォントの種類、サイズ、色、配置を自由に調整し、イラストに馴染むようにレイアウトします。Canvaを使えば、文字化けの心配は一切ありません。
全ての文字を入れ終えれば、ついに完成です。
完成画像
いかがでしたでしょうか。AIにすべてを任せるのではなく、AIの得意な「発想と描画」を最大限に引き出し、人間の得意な「正確な情報整理と配置」で補完する。この連携こそが、現状の生成AIを最も賢く、効果的に使いこなす秘訣なのです。
まとめ|生成AIアプリ開発・生成AI導入はドコドアまで
生成AIは単なるツールではなく、創造性を拡張する新しいパートナーです。技術の制約を理解し、適切に活用することで、従来では考えられなかったレベルのクリエイティブ活動が可能になります。
ぜひ実際にChatGPTを使って、様々なデザイン作品にチャレンジしてみてください。失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返すことで、必ず上達していきます。皆様の学生生活がより充実したものになることを心より願っております。
今回の生成AI講座第4弾はいかがでしたでしょうか。次回は、より高度な画像編集テクニックや、動画生成AIについても取り上げる予定です。引き続き、生成AI技術の可能性を一緒に探求していきましょう。
ChatGPT公式:https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/
ここまでいかがだったでしょうか?
私たちドコドアでは、Webサイト制作だけでなく、生成AIを活用したコンテンツ制作・生成AIの導入支援にも取り組んでいます。
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