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「デマンドジェネレーション広告」とは? 潜在顧客を動かす新時代のマーケティング戦略を徹底解説

顧客の課題が明確で、すぐに商談へとつながる“顕在層”だけを追っていては、長期的な事業成長は見込めません。
近年、BtoBを中心に注目を集めているのが「デマンドジェネレーション広告」です。
まだ課題に気づいていない“潜在層”に向けて興味関心を喚起し、徐々に態度変容を促すことで、将来的なリードへとつなげる新たなアプローチです。
本記事では、デマンドジェネレーション広告の概要から、リードジェネレーション広告との違い、活用手法、KPI設計、成功事例、最新トレンドまで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
「デマンドジェネレーション広告」とは?
潜在層への“認知と興味”を促すマーケティングの最前線
デマンドジェネレーション広告とは、商品やサービスの存在をまだ知らない“潜在顧客”に対して認知を促し、興味・関心を高めることを目的とした広告施策です。
従来のマーケティングが「今すぐ買いたい」顕在層に向けてリードを獲得することに重点を置いていたのに対し、デマンドジェネレーションは、顧客購買プロセスの最上流にあたる“無関心層”や“潜在層”をターゲットとします。
そのため、売り込み要素を前面に出すのではなく、「こんな悩みありませんか?」「実は多くの人が気づいていない課題とは?」など、ユーザーの“気づき”を促す設計が中心です。
これは、SaaS(クラウドサービス)や不動産、高単価商材のほか、教育、医療、金融など「検討期間が長く、顧客の課題認識が醸成されにくい領域」において特に効果を発揮します。
また、BtoB・BtoCを問わず「情報が届きにくいターゲット層」に広く認知を獲得できるため、今後のリード獲得やブランディングの基盤づくりにおいて欠かせない手法となっています。
さらに、デジタル広告が発展した今では、YouTube、Instagram、SmartNews、Googleディスプレイ広告など、様々な媒体を通して効率的かつスケーラブルに実施できる点も注目されています。
「リードジェネレーション広告」との違い
目的・ターゲット・KPIが異なる2つのマーケティング施策
「デマンドジェネレーション広告」と似た言葉に「リードジェネレーション広告」がありますが、これらはマーケティングファネルにおける目的や対象層が異なります。
項目 | デマンドジェネレーション広告 | リードジェネレーション広告 |
目的 | 認知拡大・課題提起 | 問い合わせ・資料請求の獲得 |
ターゲット | 潜在層(無関心層を含む) | 顕在層(比較・検討中の見込み客) |
主なKPI | インプレッション数
視聴完了率 サイト滞在時間 など |
CV数(リード獲得数)
CVR(顧客転換率) など |
コンテンツ内容 | 共感や「気づき」を重視した教育型コンテンツ | 導入事例
ホワイトペーパー 機能紹介 など |
デマンドジェネレーション広告は、ファネルの最上部(TOFU)に位置し、ユーザーに「なるほど、これは自分にも関係ありそう」と思わせる“きっかけ”をつくる段階です。
一方、リードジェネレーション広告は、中部(MOFU)以降に位置し、「興味はあるからもっと詳しく知りたい」というニーズを持った顧客に対して“アクション”を促す段階です。
たとえば、あるSaaS企業が新しい勤怠管理システムを販売する場合
・デマンドジェネレーション広告
「働き方改革に対応できていますか?―バックオフィス業務の改善方法とは」といった動画で課題意識を促す
・リードジェネレーション広告
「勤怠管理SaaS導入事例3選|資料無料ダウンロード」など、具体的な行動を促すCTA付き広告
このように、両者は役割の異なる施策であり、連携させることで「認知 → 興味 → 行動 → 商談化」という一連の流れをスムーズに設計できます。
近年はこの2つを組み合わせた「ファネル全体設計」が、マーケティング成果の最大化において重要視されています。
デマンドジェネレーション広告の主な手法
認知・共感・教育を促す多様な広告チャネルとアプローチ
デマンドジェネレーション広告は、“売り込まずに興味を引く”ことが鍵です。
そのため、ユーザーの関心を自然に喚起し、接触時間を増やせる手法が多く採用されています。
以下に代表的な施策を紹介します。
■ YouTube広告(動画広告)
ストーリーテリングや課題提起型の表現ができる動画広告は、潜在層への訴求に非常に効果的です。
例えば、短尺で課題を提示→解決へのヒントを見せる形式が一般的です。
特にYouTube Shortsやインストリーム広告は、視聴完了率やブランド想起率の向上にも寄与します。
活用例
・「あなたの業務、実はこんなに無駄が多い?」
・「在宅勤務で意外と見落としがちなリスクとは?」
■ SNS広告(Instagram / Facebook / Xなど)
Instagramのリールやストーリーズ、Facebookのフィード広告、Xのプロモ投稿などは、日常の延長で情報を受け取れる点が特徴です。
ビジュアルに強く、ストーリー型コンテンツや啓発的な投稿との相性がよいです。
ポイント
感情を揺さぶるキャッチと直感的な訴求やブランドの世界観を伝えやすいフォーマットが重要です。
■ ネイティブ広告・記事型LP
特にSmartNewsやGunosyなどのプラットフォームでは、クリック単価が比較的安価で、コンテンツ滞在時間も長くなる傾向があるため、高効率な接触が期待できます。
下の活用例のような切り口で教育型コンテンツへ誘導し、徐々に興味を深めてもらう設計が効果的です。
活用例
・「〇〇が抱える3つの課題」
・「知らなきゃ損する〇〇の新常識」
■ Googleディスプレイ広告
Googleのディスプレイネットワーク(GDN)では、特定のカテゴリに興味を持ちそうなユーザー層に対して、バナー広告などで広くリーチでき、ブランドやサービスを「なんとなく知ってもらう」フェーズで活躍します。
ポイント
ターゲティング手法(インタレストカテゴリ、類似オーディエンスなど)を活用することで、接触効率を高めることができます。
■ ホワイトペーパー連動型キャンペーン
潜在層に対し、業界トレンドや課題整理をまとめたホワイトペーパーを無料で提供することで、関心を引きつつ企業との接点を持たせる手法です。
ファーストコンタクトではCVを目的としない「お役立ち資料」が有効です。
これらの手法は単独でも効果を発揮しますが、ターゲットに対して複数チャネルから重層的に接触することで、より高い効果が得られます。
ポイント
広告だけでなく、SNS運用やナーチャリング施策と組み合わせて全体設計することで、成果につながります。
成功に導くポイントとKPI設計
「売らない広告」で成果を出すための設計力がカギ
デマンドジェネレーション広告で成功するためには、従来の「クリック数」や「コンバージョン数」だけにとらわれず、潜在層の態度変容を測るKPIを適切に設定することが重要です。
以下に、成果につなげるための主なポイントとKPIの設計方法を紹介します。
■ 成功のポイント
1. ターゲットユーザーの明確化
潜在層とはいえ、すべての人に届けるのではなく、「どんな悩み・課題に気づいていない人か?」を深く掘り下げ、ペルソナを設計します。
業界、職種、ライフスタイルなど、細分化したターゲティングが効果を左右します。
2. コンテンツの“教育性”と“共感性”
売り込み要素を排除し、「自分ごと化」を促すストーリーや課題提示型コンテンツが重要です。
ユーザーに「知らなかった」「自分にも関係がある」と思わせる設計がカギとなります。
3. ファネル全体の連携設計
デマンドジェネレーション広告は、単独で完結するものではありません。
広告→コンテンツ→リードジェネレーション→ナーチャリング→商談化といった、一貫した設計とスムーズな導線づくりが求められます。
フェーズ | 主なKPI | 指標例 |
認知獲得 | リーチ数
インプレッション数 視聴完了率 |
YouTube視聴率
GDNの表示回数 など |
興味喚起 | クリック率
エンゲージメント率 |
SNSの保存
いいね シェア など |
態度変容 | サイト滞在時間
スクロール率 再訪率 |
Google Analyticsでのユーザー行動分析 |
導線設計 | CTAクリック率
資料DL数 |
ナーチャリング施策への遷移率
など |
KPIはフェーズごとに設計し、ファネル全体で「どの段階で離脱しているか?」を可視化できるようにしておくと、改善施策のヒントになります。
成功事例から学ぶ活用方法
ここでは、実際の企業がデマンドジェネレーション広告を活用して成果を上げた事例を2社ご紹介します。
いずれも、ターゲットに合わせたコンテンツ設計と、的確なKPI設定・運用が鍵となっています。
事例①:Sansan株式会社(名刺管理サービス「Eight」)
ビジネスパーソン向けの名刺アプリ「Eight」の認知拡大を目的に、Sansan株式会社はFacebook広告と連携したホワイトペーパー配布を実施しました。
具体的には、リモートワーク拡大という市場変化を背景に、「オンライン名刺交換の効率化」に関する資料を提供し、リード獲得を促進しました。
広告のクリックからLPへの誘導率は25%超、さらに獲得したリードのうち約20%が営業案件化へつながったと報告されています。
成功ポイント
-
時流(リモートワーク)に合わせた訴求テーマの選定
-
コンテンツに対するユーザーの関心と課題意識をうまく捉えた設計
-
コンバージョン後のナーチャリング体制の強化
事例②:株式会社kubell (ビジネスチャットツール「Chatwork」)
参考:https://go.chatwork.com/ja/
中小企業を主なターゲットとするChatworkでは、Google広告とYouTube広告を活用したデマンドジェネレーション施策を展開しています。
業種ごとに異なる課題に対応する動画コンテンツを配信し、それぞれ専用のランディングページを用意しています。
一般的なBtoB広告のCTRが0.5〜1%前後であるのに対し、Chatworkの施策ではCTRが1.5倍と、平均を大きく上回る成果を記録しており、また、月間で5,000件以上のリードを安定的に獲得しています。
成功ポイント
-
ターゲット業種別にコンテンツを最適化し、広告訴求をパーソナライズ
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YouTubeを活用した感情訴求型の動画広告で認知向上と理解促進を両立
-
LPも含めた一貫した導線設計により離脱率を大幅に低減
これらの事例から、「誰に・どんな価値を・どのチャネルで届けるか」を徹底的に設計し、適切なKPIとPDCAの仕組みを持って運用することの重要性が分かります。
今後のトレンドと展望
「共感 × 教育 × ストーリー」が未来の主流に
デマンドジェネレーション広告は、これからのマーケティングにおいてさらに重要性が高まると予測されます。
特に以下のようなトレンドが注目されています。
■ トレンド1:検索依存から“提案型メディア”への移行
ユーザーが「検索して商品を探す」のではなく、SNSや動画、ニュースアプリなどで“提案される情報”から新たなニーズを発見する傾向が強まっています。
これは、まさにデマンドジェネレーション広告の活躍領域と言えます。
■ トレンド2:ナラティブ型広告の台頭
従来の機能訴求型ではなく、「ストーリーを通じて自分ごと化させる」広告が主流になる可能性があります。
企業のミッション、ユーザーの課題、社会課題と結びつけたナラティブ(語り)型表現が増えています。
例えば、Doveの「Real Beauty」キャンペーンやAppleのプロダクトストーリーテリングなどが代表的なナラティブ型広告の事例です。
■ トレンド3:生成AIと広告クリエイティブの融合
ChatGPTなど生成AIの発展により、膨大なパターンのコンテンツを短時間でテスト・最適化できる時代になり、それに伴い潜在層の興味を引く見出しや構成(コピーのA/Bテスト生成、バナー自動生成など)をAIで作り、PDCAの高速化が可能になります。
■ トレンド4:ファーストパーティデータ(自社が収集したデータ)との統合設計
Cookie規制が進む中で、自社サイトやCRMと連携したファーストパーティデータを活用し、潜在層の行動ログを蓄積・活用する施策が加速しており、広告→自社コンテンツ→行動分析→次の接触というサイクルが強化されます。
今後は「広告 = 売るもの」から「広告 = ファンを育てるコンテンツ」へと進化し、デマンドジェネレーションの重要性がさらに高まっていくと言えます。
まとめ
今回は、デマンドジェネレーション広告の基本から具体的な手法、成功事例までをご紹介しました。
BtoBマーケティングにおいて「潜在層の発掘と育成」はますます重要視されており、その中でデマンドジェネレーション広告は強力な武器となります。
マーケティングに取り組む際に最も大切なのは、「誰に、どんな価値を届けるのか」というターゲット理解と、目的に合った手法の選定です。
特にデマンドジェネレーション広告では、初期段階での訴求設計と、リード獲得後の育成体制まで一貫して考える必要があります。
また、効果的な運用には、マーケティングや広告の知識だけでなく、データを適切に読み解き、改善につなげる分析力も欠かせません。
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