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ホームページ制作の依頼前に「アートとデザインの違い」を知る

アートとデザインの違い

アートとデザインは明確に異なる役割を持っています。アートの役割は問題提起であり、デザインの役割は問題解決です。これはデザインの依頼を受けるデザイナー側は当然に理解していることですが、依頼する中小企業の側には理解されていないことがよくあり、ホームページの成果が曖昧になる原因となっています。この記事では特に中小企業経営者向けに、アートとデザインの役割の違いを整理します。

アートとデザインの役割の違い

アートとデザインはいずれも何らかの表現をともないますし、ともに審美性が問われますし、表現者と利用者(または鑑賞者や参加者)との間にコミュニケーションをともなうなど、似ている部分もあります。しかしそれらが担う役割は明確に異なります。アートの役割は問題提起であり、デザインの役割は問題解決です。ここでアートとデザインのそれぞれについて整理してみましょう。

アート

担う役割
問題提起(問題を可視化し印象づける)
表現形態
絵画、彫刻、音楽、文学、演劇、映画、舞踊、漫画、などなど
扱う主題
神、愛、心、命、美、人間性、良心、社会、文明、正義、環境、戦争、平和、人生、などなど

アートの役割は問題提起です。人間や社会が抱えている潜在的な問題、つまり見えにくい問題に形を与えて可視化し、その問題について鑑賞者や参加者に問いかけます。アートが主題として扱う問題は容易に解決することのできないものであることが多いため、問題そのものの直接的な解決までは求められません。

アートでは、美しい風景や人物を描くことで理想と現実とのギャップを印象づけたり、凄惨な状況や心象を描くことで現実の問題をあぶり出すような手法がよく使われます。アートを通じて鑑賞者や参加者が現状の問題を認識し、洞察や対話や議論のきっかけとすることで、社会や人間を理想に近づけていくのがアートの役割です。

デザイン

担う役割
問題解決(具体的な目的を達成する)
表現形態
製品、建築、パッケージ、広告、サイン、UI、都市、グラフィック、空間、ビジネスモデル、サービス、ロゴ、などなど
扱う主題
便益、機能性、美しさ、わかりやすさ、便利さ、使いやすさ、気持ちよさ、競合優位性、などなど

デザインの役割は問題解決です。ここでいう問題とは「現状と理想の間のギャップ」であり、問題解決とはそのギャップを埋めることを指しています。デザインの役割は、現状を理想に近づけ、目標を達成するというものです。すべてのデザインには明確なゴールがあります。それは現状の問題を解決し、目標を達成することです。

また、デザインは広義には「計画」や「設計」の意味を持っています。つまり色や形で表される意匠上のデザインだけでなく、キャリアデザイン、事業デザイン、生活デザインなどといったように、人生設計、事業計画、生活設計のようなものもデザインに含まれます。しかしいずれの場合も、現状と理想のギャップを埋めて問題を解決するという役割に違いはありません。

デザインは機能しなければ意味がない

座れない椅子、冷えない冷蔵庫、切れないハサミ、売れないチラシ、読めない書籍のようなものであっても、それらが社会に対する何らかの問題提起を含んでいるのであれば、アートとしては成立するかもしれません。しかしそれらはデザインとしては失格です。たとえどんなに見た目が美しくても、最新の技術や流行が盛り込まれていても、役に立たないものはデザインではありません。

デザインの役割は問題解決ですから、機能し、問題を解決できなければ意味がありません。例えば企業向けのホームページ制作では、ホームページのデザインによって依頼側企業のインターネット活用に関する経営課題を解決することが必須の要件です。問題を解決しないデザインに価値はありません。そこがアートとの違いです。

デザインとは、具体的な問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること

デザイン – Wikipedia日本語版より

依頼する側が「デザインは問題解決である」という認識を持っておらず、単なる意匠を依頼するに過ぎないという意識であった場合、結果は悲惨なものになってしまいます。解決すべき問題が曖昧なまま依頼すれば、解決策であるデザインも曖昧になり、当然の結果として満足な成果は得られません。これはすべてのデザインに当てはまることで、ホームページの制作でも同様です。

そして残念なことに、ホームページ制作におけるデザイナーのレベルは玉石混淆です。見た目だけは美しく仕上がっていても、座れない椅子、冷えない冷蔵庫、切れないハサミのようなホームページは珍しくありません。そうしたものを納品されてしまわないためには「自分たちが依頼するのは問題解決である」という意識を持って、ふさわしい依頼先を選定しなければなりません。

よりよくデザインを理解する

デザインについての理解をより深めるために、ここでいくつかの箴言を紹介します。いずれもデザイナーにとっては非常に有名なものであり、デザインの依頼側も知っていて損はありません。

Design is not just what it looks like and feels like. Design is how it works.

デザインとはどう見えるかやどう感じるかだけではない。どう機能を果たすかだ。

スティーブ・ジョブズ
実業家。米アップル社の協同設立者の一人

When we talk about whether a design is ‘good’ or ‘bad’, we’re really talking about the goal we want it to have reached.

デザインの良し悪しについての議論とはつまり、達成しなければならない目標についての議論である。

ジョー・スパラノ
デザイナー。Zapierのマーケティングディレクター

Design is directed toward human beings. To design is to solve human problems by identifying them, examining alternate solutions to them, choosing and executing the best solution.

デザインは人間に目標を達成させる。デザインすることは、問題を特定し、解決策を吟味し、最適な解決策を選択することで、人々の問題を解決するということだ。

アイヴァン・チャマイエフ
グラフィックデザイナー。ニューヨークデザイン界の第一人者

これらに共通しているのは、利用者がその目的をきちんと果たせるようにデザインするという信念です。色や形を工夫することは、単に見栄えをよくするためではなく、きちんと機能するために実施されていなければなりません。利用者が目的を果たせることが優れたデザインの条件であるためです。ホームページのデザインであれば、以下のように考えることができるでしょう。

  • 「その製品を入手したい」というユーザーを、きちんと購入完了まで到達させる
  • 「そのサービスについてよく知りたい」というユーザーを、きちんと問い合わせ完了まで到達させる
  • 「その店に訪問したい」というユーザーを、きちんと実店舗の来店まで到達させる

商品が売れないホームページ、問い合わせが届かないホームページは、機能を果たしておらず、誰の問題も解決しません。つまりそれはデザインではありません。多くの中小企業では、そうしたものに予算を割くような余裕はないでしょう。そうであれば、御社とその顧客の問題を解決できるようにきちんとデザインされた、機能するホームページを依頼しなければなりません。

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