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サーバーってなに?エンジニアじゃなくてもわかるサーバーの基礎知識

はじめに:なぜサーバーを知る必要があるのか?
「サーバーってよく聞くけれど、実はよくわからない」
そんなふうに感じている方は少なくありません。
ですが、Webサイトが表示される、メールが届く、社内システムが動く――
こうした日々の業務の裏側には、必ずといっていいほどサーバーの存在があります。
本記事では、「サーバーとは何か?」という基本的なところから、Webサーバーやメールサーバーといった身近な種類の違いまでを、ざっくりやさしく解説します。
こうした基本的な知識を持っておくことで、業務に関わるITの仕組みがより理解しやすくなり、判断や意思決定の精度も高まります。また、エンジニアや制作チームとのやり取りもスムーズになり、確認や調整にかかる時間や手間を減らすことができます。
「詳しくはわからなくても、概要だけでも知っておきたい」
そんな方にこそ読んでいただきたい、非エンジニアの方向けのサーバー入門記事です。
サーバーってなに?
「サーバー」と聞くと、なんだか難しそうな専門用語に思えるかもしれません。
でも実は、サーバーとは“必要なものを必要なときに提供してくれる存在”という意味で、 私たちが普段何気なく使っているWebサイトやメール、クラウドサービスなどの“裏方で動いている存在”です。
ITだけでなく、私たちの身の回りにも似たような仕組みが存在しています。
ビールサーバーやウォーターサーバーを思い出してみてください
たとえば居酒屋にあるビールサーバー。レバーを引くとビールが出てきます。
オフィスにあるウォーターサーバーも、ボタンを押せば水が出てきます。
このように、「欲しい」とお願いすれば、必要なものを提供してくれる機械のことを「サーバー」と呼ぶのは、ITの世界でも同じです。
- Webサイトを見たいと思ってスマホでURLを開くと→ その情報を届けてくれるのが「Webサーバー」
- メールを確認したいと思ってアプリを開くと→ メールの内容を送ってくれるのが「メールサーバー」
つまり、私たちが何かを「使いたい」と操作したときに、必要な情報を届けてくれる“提供者”がサーバーです。
サーバーの種類
サーバーというと巨大なマシンを想像するかもしれませんが、実際には1台の普通のコンピューターの中でいろいろなサーバーが動いていることもあります。
サーバーは、「何を提供するか」によって種類や役割が分かれています。
種類 | 主な役割 | イメージ |
---|---|---|
Webサーバー | Webページの情報を送る | 図書館の本棚(必要な本を取り出す) |
メールサーバー | メールの送受信・一時的な保管 | 郵便局(送る・受け取る・一時預かり) |
ファイルサーバー | ファイルを社内などで共有する | 共有ロッカー(みんなが入れたり見たりできる) |
データベースサーバー | 情報を整理して保管し、検索に対して返答する | 図書館の司書(欲しい情報を探してくれる) |
サーバーはどこにあるの?
私たちが普段使っているWebサイトやメールは、どこかにある「サーバー」から届けられています。
でも、「サーバーってどこにあるの?」「もしかして、自分のパソコンがそうなの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、サーバーは特別な場所に設置された、目的に特化したコンピューターです。
自分のパソコンとは、役割も使い方も大きく異なります。
サーバーは「データセンター」にある
多くのサーバーは「データセンター」と呼ばれる専用の建物に設置されています。 これは、温度管理・セキュリティ・電源対策などが万全に整えられた“サーバー専用の倉庫”のような施設です。
そこには膨大な数のサーバー機器が並んでいて、世界中のWebサイトやサービスを支えています。
サーバーは自分で持つこともできる?
企業や組織によっては、自分たちでサーバー用のコンピューターを購入し、社内に設置して運用している場合もあります。
しかし最近では、「クラウドサービス(※)」を使って、必要なときだけ借りて使うことが多くなってきています。
※クラウドサービスとは:インターネット経由でサーバーなどのIT機器を借りる仕組みです。 代表例は「AWS」「Google Cloud」「Microsoft Azure」など。
サーバーは目に見えないけど、どこかで動いている
普段私たちは、Webサイトを見るときもメールを使うときも、
その裏側で世界のどこかにあるサーバーが動いてくれているとはあまり意識していません。
でも実は、ページを開くたび、メールを送るたびに、サーバーがせっせと情報を届けてくれているのです。
サーバーが落ちると何が起きる?
「サーバーが落ちた」と聞いたことはありませんか?
これは、サーバーが一時的に停止してしまい、いつものように動かなくなった状態を指します。
では、実際にサーバーが落ちると何が起きるのでしょうか? 私たちが普段使っているWebサイトやサービスにも、さまざまな影響が出ます。
例えばこんなトラブルが起きます
- Webサイトが開けない製品や、会社情報を見ることができず、利用者に直接影響します。
- メールが送れない・届かない社内外のやりとりが止まってしまい、ビジネスが滞る可能性があります。
- システム全体が動かなくなる会員管理、在庫連携などが停止し、企業活動が止まるケースもあります。
なぜサーバーは落ちるの?
いろいろな原因がありますが、よくあるものとしては次のようなものが挙げられます。
- アクセスが集中し、サーバーの処理性能が追いつかなくなった
- プログラムのエラーでサーバーがうまく動かなくなった
- 機械的なトラブルやネットワークの障害が起きた
適切なサーバー選びや、定期メンテナンスによって避けることができる場合もあります。
非エンジニアが知っておくと便利なこと
サーバーの仕組みをすべて理解する必要はありませんが、ちょっとした知識があるだけで、制作チームとのやり取りや業務の進行がスムーズになります。
ここでは、非エンジニアの方が「知っておくと便利」なポイントをいくつかご紹介します。
サーバーは管理者と責任者がいる
サーバーには、必ず設置している管理者と責任者がいます。
以下ような例があります。
- 社内に設置した自社サーバーなのか→ 自社管理・自社責任
- 外部のレンタルサーバーなのか→ 他社に管理委託
- クラウドサービス上のサーバーなのか→ 様々なケースあり
これらによって、できること・責任範囲・費用感などが変わってきます。
これらを知り、把握しておくと、「誰に聞くのが適切か」「何が起きている状態か」が想像しやすくなります。
「重い」「落ちた」は原因もさまざま
Webサイトやシステムに不具合があるとき、実際には原因は多岐にわたります。
状況 | 考えられる原因の一例 |
---|---|
ページが表示されない | サーバーが停止/アドレスの接続エラー/ネット回線の障害 |
表示が遅い | サーバーへの高負荷/画像などのサイズが大きい/通信状況が悪い |
メールが届かない | メールサーバーが停止/メールソフトの設定ミス/相手側の迷惑メール設定 |
「どこに問題があるのか」の調査・切り分けはエンジニアが行うことができますが、「症状を具体的に伝える」ことが、原因特定の近道になります。
用語の使い方をざっくり知っておくと話が早い
会話やメール内でのやり取りで、カタカナが多くなんとなく聞き流してしまいがちな単語も、意味が少しわかるだけで理解や合意形成に繋がり、プロジェクトのスピードも変わってきます。
用語 | ざっくりとした意味 |
サーバー | 情報を提供するコンピューター |
データベース | データを整理して保管する場所 |
ドメイン | インターネット上の住所のようなもので、サイトを訪れるための名前 (例:google.com、docodoor.co.jp) |
メールサーバー | メールの送受信を行うコンピューター |
ブラウザ | Webサイトを見るためのソフト(例:GoogleChrome、Safari など) |
SSL | Webサイトの通信を安全にするための暗号化技術 |
まとめ
この記事では「サーバーってなに?」というテーマで、基本的な仕組みや種類、知っておくと便利なことなどを紹介してきました。
普段、Webサイトやメールを何気なく使っていても、その裏側には必ずサーバーが存在しています。 その仕組みをざっくりでも理解しておくことで、システムやサイトに関する会話が少しスムーズになり、制作チームとのやりとりやトラブル時の対応にも役立ちます。
もちろん、専門用語を覚える必要はありません。 「こういう仕組みがあるんだな」と感覚的にでも理解できていれば十分です。
今後、インターネットやシステムに関わる場面で「サーバー」という言葉が出てきたときに、少しでもこの記事の内容が思い出されるきっかけになれば幸いです。