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【全事業者対象】2024年4月法改正で変わる?ウェブアクセシビリティの基礎から法改正の内容についてご紹介
障害者差別解消法改正に伴って、ウェブアクセシビリティ対応への重要性が高まっているのはご存知でしょうか。ウェブアクセシビリティは、多様なユーザーがウェブ上の情報やサービスを利用しやすい状態に整えるための重要な概念です。そもそもアクセシビリティとは何か、法改正のポイントにも触れて解説します!
ウェブアクセシビリティとは
ウェブアクセシビリティとは
「アクセシビリティ」という単語は、Access(近づく、アクセスする)と Ability(能力、〜できること)を掛け合わせた言葉で、「近づきやすさ」「利用しやすさ」という意味があります。
ウェブアクセシビリティは、利用者の障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず、ウェブで提供されている情報やサービスを利用できること、またはその到達度を意味します。これは、障害の有無にかかわらず、全てのユーザーがウェブ上のコンテンツにアクセスできるようにする考え方です。
「ウェブアクセシビリティが確保できている」状態とは、具体的に次のような状態になることが望まれます。
● 目が見えなくても情報が伝わる・操作できること
● キーボードだけで操作できること
● 一部の色が区別できなくても情報が欠けないこと
● 音声コンテンツや動画コンテンツでは、音声が聞こえなくても何を話しているかわかること
(出展:デジタル庁「ウェブアクセシビリティガイドブック」)
ウェブアクセシビリティのガイドラインと規格
ウェブアクセシビリティを実現するためには、様々なガイドラインや規格が存在します。
WCAG(技術規格)
正式名称はWeb Content Accessibility Guidelinesで、ウェブ技術・仕様の標準化を推進しているW3C(国際的団体)が作成しているアクセシビリティに関するガイドラインです。2023年11月に「2.2」というバージョンが勧告されています。
ISO/IEC40500:2012(国際規格)
2012年に国際基準だったWCAG2.0がISO/IEC40500:2012として正式に国際規格になりました。
JIS X 8341-3(国内規格)
JISX8341-3は正式名称を「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサー ビス-第 3部:ウェブコンテンツ」と言い、日本国内の規格です。2010年にWCAG2.0の内容を取り込む形で大きく改定され、 2016年にはWCAG2.0とISO/IEC40500:2012と全く同一内容の一致規格として改定されました。それぞれのガ イドラインと規格が同じ内容になったことにより、ウェブアクセシビリティのチェック方法やチェックツール を共通化できることに加え、国ごとに違うガイドラインや規格を使う必要がなくなりました。
W3Cのガイドラインと国際標準規格(WCAG2.0)、国内のJIS規格(JIS X 8341-3:2016)、国際規格(ISO/IEC 40500:2012)は、いずれも同じ内容です。
障害者差別解消法とは?
概要
障害者差別解消法は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会の実現に向けて、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として平成28年4月1日から施行されました。
そして今回、障害者差別解消法が令和3年5月に改正され、改正法は令和6年4月1日から施行されます。
法改正の内容
法改正のポイントは、障害者差別解消法における「合理的配慮」の提供が、事業者に義務化される点です。
「合理的配慮の提供」とは、障害のある人から「社会の中にあるバリア(障壁)を取り除くために何らかの対応が必要」との意思が伝えられたときに、行政機関等や事業者が、負担が重すぎない範囲で必要かつ合理的な対応を行うことです。
「合理的配慮」の内容は、障害特性やそれぞれの場面・状況に応じて異なります。事業者は、主な障害特性や合理的配慮の具体例などを予め確認した上で、個々の場面で柔軟に対応を検討することが求められます。
具体的な例としては下記のようなことが挙げられます。
・意思を伝え合うために絵や写真のカードやタブレット端末などを使う
・段差がある場合に、スロープなどを使って補助する
・障害者から「自筆が難しいので代筆してほしい」と伝えられたとき、代筆に問題がない書類の場合は、障害者の意思を十分に確認しながら代筆する
(参考:内閣府 「障害者差別解消法に基づく基本方針」の改定より抜粋)
ウェブアクセシビリティは義務化なのか?
合理的配慮とウェブアクセシビリティはどのように関係していくのでしょうか。
改正障害者差別解消法においては、合理的配慮を確実に行うため、環境整備が努力義務となっており、ウェブアクセシビリティを確保することがこれに当たります。ウェブアクセシビリティを行わないことは合理的配慮にかけると言えるでしょう。
(参考:内閣府 「 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 」第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項)
対象事業者
改正法の対象となる事業者は、一般企業を含む民間事業者です。
罰則
法改正により合理的配慮を提供する義務を追うことになりましたが、ウェブアクセシビリティ自体に対する罰則は定められておりません。
ただし、行政機関などから合理的配慮の不提供による、差別に当たる事案が指摘された際に、事業者が報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は罰則が与えられます。(二十万以下の過料)
(参考:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 」第12条ならびに第26条)
アクセシビリティ対応でやるべきこと
ウェブアクセシビリティ向上のためのチェックリスト
ウェブアクセシビリティを向上させるためには、以下のチェックリストを参考にすることが役立ちます。
▶︎達成しないと利用者に重大な悪影響を及ぼすもの
・動画コンテンツなどが自動再生しないようになっているか
・袋小路に陥らない構成になっているか
・点滅の間隔は適切になっているか
・自動でコンテンツが切り変わらないか
▶︎必ず達成しなければならないもの
・画像などに代替テキストを付与しているか
・キーボード操作だけで、ウェブサイトのすべての機能にアクセスすることができるか
・操作に制限時間が設ていないか
・赤字・太字・下線・拡大など単一の表現のみで情報を伝えていないか
・スクリーンリーダーで順に読み上げたときに、意味が通じる順序になっているか
・見出しでサイトに含まれる内容を表現できているか
・文字と背景の間に十分なコントラスト比が保たれているか
・テキストの拡大縮小をしても情報が読み取れ設計になっているか
・文字のサイズや色、フォントが適切か
・リンクやボタンがわかりやすく操作しやすいか
・同じ機能には、同じラベルや説明がついているか
詳しい対応方法についてはデジタル庁のガイドブックでご確認いただけます。
ウェブアクセシビリティ対応のためにJIS規格に従ったウェブサイト作ろう
JIS(日本工業規格)規格に基づいたウェブサイトの構築は、法改正への対応とともに、より高いアクセシビリティを実現するための一手段です。JIS規格に沿ったウェブサイトを作り、ユーザー全体に対する利便性を向上させましょう。
まとめ
2024年4月に施行される障害者差別解消法の改正の概要とウェブアクセシビリティについて紹介しました。ウェブアクセシビリティの対応をすることで、多様化する利用環境に適応できるようになり、より多くの方に情報を提供することができるようになります。
本記事をご覧になって、ウェブサイトの改修をご検討の際は、ぜひ一度弊社へご相談ください。
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ドコドア 編集部
EditTeam