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コンテンツマーケティングとは?|基礎知識から実践の流れ、成功事例まで徹底解説!
「コンテンツマーケティング」とは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを活用したマーケティング活動のこと。ひと言で「価値のあるコンテンツ」といっても、Web記事やメルマガ、SNSまで、その手法は多岐にわたります。
こちらの記事では、今企業が取り組むべき「コンテンツマーケティング」に関する基礎知識をまとめてお届け。種類ごとのメリット・デメリットに加え、実践手順や成功事例まで幅広く解説します。
「コンテンツマーケティングって、最近よく耳にするけどどういうこと?」
「手探りでコンテンツマーケティングに取り組んでいるけど、いまいち成果につながっていない…」
「BtoB企業でも効果はある?」
そんな疑問やお悩みにこたえる内容になっていますので、ぜひお役立ていただけたら幸いです。
目次
コンテンツマーケティングとは?
「コンテンツマーケティング」とは、ユーザーが必要としている情報を通して接点を生み、商品・サービスの購入を経て、顧客化させることを目指すマーケティング手法です。
潜在層を対象に集客目的で活用するケースのほか、既存顧客向けのCRM(=顧客との関係性管理)を目的とするケースもあります。
コンテンツマーケティングの特徴は、商品やサービスを積極的に「売る」ためのアプローチではなく、ユーザーに有益な情報を「届ける」ことに特化していること。ユーザーに必要とされている情報を発信することで、ユーザー側から関心を持ってもらい、タッチポイントを創出することを目的としています。
コンテンツマーケティングが重視されている理由とは?
「コンテンツマーケティング」は昨今よく耳にするようになった言葉ですが、「ユーザーに価値ある情報を発信する」という手法自体は、以前からあるものです。
ではなぜ、今あらためてコンテンツマーケティングが注目されているのでしょうか?
一つ目の理由は、消費者が購入に至るまでのプロセスの変化。インターネットを使って誰もが知りたい情報にアクセスできる今、ユーザーは関心のある商品・サービスについて検索し、納得した上で選択する体験を重視しています。
「必要なものは自分で探す」というプロセスが当たり前になっているため、これまで企業が当たり前のように行ってきたテレビCMやバナーなどのネット広告、テレアポといった売り込み型のマーケティングが通用しなくなっているのです。
その点、ターゲットにとって有益な情報を発信するコンテンツマーケティングでは、ニーズが顕在化していない潜在層とのタッチポイントを創出することが可能。不特定多数の大衆に向けた情報発信ではなく、ターゲットを絞り込んだ訴求で、より確実なマーケティング活動を行うことができるのです。
二つ目の理由は、ユーザーの消費意識の変化です。
モノ自体の価値を重視する「モノ消費」から、商品やサービスを購入したことで得られる体験に価値を見出す「コト消費」、さらには商品を通じて社会や環境に貢献する「イミ消費」と、消費に関する価値観は変化しています。
その傾向は、消費者の情報収集手段がテレビや新聞、雑誌といったマスメディアに依存していた時代から、SNSやレビューで誰もが自身の体験や感想を発信できる時代へと変遷するにつれて強まっています。
企業がユーザーと強いつながりや信頼関係を構築するためには、ユーザーのニーズを分析した上で、ユーザー視点での情報発信が必要なのです。ユーザーとの関係性を深めるために、喜ばれるコンテンツを考えましょう。
コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
コンテンツマーケティングの概要をご理解いただいたところで、メリット・デメリットについて解説します。他のマーケティング手法との違いを理解した上で、取り組んでいきましょう。
メリット1:専門性をアピールできる
ユーザーに喜ばれるコンテンツといっても、自社の商品やサービスに関係のないコンテンツでは購買効果は見込めません。反対に、自社の専門性や独自性を生かした内容であれば、専門家としての信頼感が高まり、ブランディングにも役立てることができます。
特にBtoB企業においては、ターゲットの業種や企業規模といった属性が限定されているケースがほとんど。こうした限定された顧客層を狙って、ニーズに合ったコンテンツを発信することで、潜在的な顧客を増やすことが可能です。
また、限定された顧客層が検索するキーワードは検索ボリュームが少ないので、検索エンジンで上位に表示されやすいという利点もあります。
ターゲットの「知りたい」に応えるコンテンツを制作し、信頼関係を築きましょう。
メリット2:低コストで始められ、継続的な効果を期待できる
出稿を停止したら表示されなくなる広告とは異なり、SNSやオウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングであれば、一度制作したコンテンツはその後も資産として残り続けます。ユーザーのニーズに合ったコンテンツを蓄積することで、ターゲットの継続的な集客を見込めるため、費用対効果が高い手法といえるでしょう。
特にBtoBの取引では、情報収集から購入決定までの検討期間が長い傾向があります。そのため、広告で単発的な接触をはかるよりも、検討期間に継続的に情報を提供し続けられるコンテンツマーケティングの方が適しているといえるでしょう。
メリット3:SNSで拡散されやすい
コンテンツマーケティングはSNSとの相性がいいマーケティング手法です。ターゲットのニーズに応えるコンテンツは、ユーザーに発見や共感をもたらし、SNSでの情報のシェアを期待できます。
企業からの一方的な売り込みではなく、ユーザーから支持を集めるコンテンツを作ることで、ユーザーによる情報の伝播が自然に発生。ポジティブなシェアによって広がれば、ブランドが広く認知されるきっかけを作ることができます。
人は、第三者からの評価を信頼しやすい「ウィンザー効果」という心理的傾向を持っています。企業やサービスとは利害関係のないユーザーによる情報拡散が狙える点もコンテンツマーケティングの強みです。
メリット4:リピーター獲得に効果的
コンテンツマーケティングで魅力的な情報発信を続けることで、ユーザーとの信頼関係を育てることができます。「この企業は私の価値観に合った情報を発信してくれる」「この企業は自社にとって有益である」という認知が高まるほど、ユーザーの企業への愛着が高まり、商品の再購買を期待できるようになります。
また、企業やサービスに高い愛着を持つ顧客は、SNSやレビューでポジティブな口コミ・感想を発信してくれることもあり、潜在顧客の増加につながります。こうした循環が生まれることで、マーケティング効果をさらに高めていくことができるのです。
デメリット1:効果が出るまでに時間がかかる
最初にも触れましたが、コンテンツマーケティングは「ユーザーにとって有益な情報を届けること」に特化した手法であり、「積極的に商品を売り込む」手法ではありません。
継続的な情報発信によって潜在顧客を徐々に増やし、企業に愛着を持つ顧客へと育て、リピーター化させることを目的としているため、成果が出るまでには最短でも数カ月ほど時間を要するのが一般的。ユーザーとの信頼関係を築くのは簡単ではありませんが、コツコツ情報発信を続けましょう。
デメリット2:情報の更新・運用に手間がかかる
コンテンツでユーザーのニーズを満たし続けるためには、定期的に情報のメンテナンスを行う必要があります。そのため、コンテンツ制作に加え、情報の更新・運用に手間がかかるのは避けられません。
せっかく制作したコンテンツの価値を保つためにもトレンドやニーズの変化を把握し、最新の情報を届けるように心がけましょう。
「ZMOT」におけるコンテンツマーケティングの活用
コンテンツマーケティングが再注目されるようになった背景には「ZMOT」という理論があります。
「ZMOT(Zero Moment of Truth、ジーモット)」は、Googleが提唱する「消費者が購買行動を決める瞬間」に関するメンタルモデルで、「顧客が何を買うかは店舗に来る前に決まっている」という考え方です。
商品棚の前に立った数秒間で売上が決まると考える「FMOT(エフモット)」や、購入後のアフターサービスがリピーター獲得に不可欠と考える「SMOT(エスモット)」を踏襲したもので、店舗を訪れる前の段階(=ゼロ段階)で行うインターネット検索により、消費者は何を購入するかを決定しているという考えです。
ZMOTによる商品購入までのステップの変化
FMOT、SMOTが中心だった以前とは異なり、ZMOTというステップが加わったことで、ユーザーが商品を購入するまでの流れが変化しました。ここでは、掃除機の購入を検討している人を例に挙げて解説します。
たとえば数ある掃除機の中から自分に合った商品を買いたいと考えた時、みなさんは最初に何をするでしょうか?
多くの場合、「掃除機 おすすめ 3万円以内」「ロボット掃除機 比較」など自身の希望に合ったキーワードで検索を行い、インターネット上のレビューやSNSなどの口コミを参考に比較・検討した上で、購入する掃除機を決定。欲しいアイテムを目掛けて店舗を訪れて購入する、という流れを想像するのではないでしょうか。
つまり、現在の消費活動において、Webでの検索は欠かせないステップになっており、店舗を訪れた段階ではすでに購入する商品は決まっているのが当たり前に。そのため店舗でのプロモーションは効果が薄く、その前段階での情報発信と認知度向上が重要になっています。
そこで効果的なのが、潜在層や既存顧客に向けて継続的な情報発信を行うコンテンツマーケティング。ユーザーがどんな情報を欲しているかを理解した上で、有益なコンテンツを発信することで、購入候補として認識されることができるのです。
コンテンツマーケティングの種類
続いて、コンテンツマーケティングの代表的な種類を紹介します。ターゲットに合った方法を組み合わせて、魅力的な情報発信を行いましょう。
ブログ・コラム
ターゲットのニーズを満たすブログやコラムを制作する方法で、BtoC・BtoB双方に効果的です。ユーザーにとって有益な情報を記事として公開することで、検索エンジンでの評価を高め、上位で表示されやすくなります。
制作したコンテンツ(=記事)はサイト上に蓄積され、資産として残り続けます。ユーザーの目的に合った記事をが増えるほど検索エンジンからの評価を得やすくなり、企業としてのブランディングにつなげられます。
最近では自社サイトのオウンドメディア化によって、顧客のファン化に成功している企業もたくさんあります。ユーザーへの理解を深め、心を掴むコンテンツを発信しましょう。
◆ブログ・コンテンツが向いているのは…
- Webサイトへの集客を増やしたい場合
- 制作コストを抑えたい場合
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、ユーザーが解決したい課題に対しての参考資料のことをいいます。自社商品やサービスの導入メリットを解説する営業資料とは異なり、ホワイトペーパーではユーザーの関心や課題をテーマとした解決策を提供することを目的としています。
ホワイトペーパーを無料ダウンロードする際に、電話番号やメールアドレスの入力を必須にすることで、見込み顧客の情報収集を可能にします。
興味の深度別に複数の資料を用意することで、ユーザーがどの程度の興味を持ってくれているかの判別ツールとしても役立つでしょう。
◆ホワイトペーパーが向いているのは…
- 見込み顧客の育成を目的としている場合
- 制作できるリソースがある場合
導入事例
事例コンテンツは、自社の商品・サービスを利用している顧客の声を紹介するものです。「商品導入前にどのような課題を抱えていたか」「商品の導入によってどのように課題を解決したか」という内容を顧客の視点で届けることで、ユーザーの購入を後押しします。
顧客との信頼関係や課題解決力をアピールするコンテンツとしても役立つでしょう。
◆導入事例が向いているのは…
- 購入の最後の後押しとして活用したい場合
- 顧客との良好な関係性を強調したい場合
メールマガジン
見込み顧客・既存顧客に一斉送信でメールを配信することで、少ない手間とコストで情報発信できる方法です。お役立ち情報のほか、セミナーなどの案内、新商品のお知らせなどを定期的に配信することで、常に接点を持つことができ、自社の認識を強めてもらうことができます。
◆メールマガジンが向いているのは…
- 見込み顧客との接点を創出したい
- 低コストでコンテンツマーケティングに取り組みたい
イベント・セミナー
自社の商品・サービスに関連した領域のノウハウを提供するコンテンツ。最近では、対面型だけでなく、Zoomなどのオンライン会議ツールを活用したウェビナーなども増えています。
参加無料のオンラインセミナーであれば気軽に参加できるので「まだ情報収集の段階だけど、少し話を聞いてみたい」という見込み顧客との接点を生むことができます。
◆イベント・セミナーが向いているのは…
- 見込み顧客との接点を創出したい場合
- 自社の専門性の高さをアピールしたい場合
このほか、各種SNSやWebマガジン、動画などもコンテンツマーケティングの手法として活用されています。各コンテンツの強みを理解した上で、自社に合った手法を選択しましょう。
コンテンツマーケティング実践の流れ
コンテンツマーケティングに取り組む際には、徹底したターゲット分析と適切な手法選択が重要です。次のステップで、成果の上がる施策を計画しましょう。
ステップ1:目標の設定
はじめにコンテンツマーケティングによる目標を設定します。たとえば「Webからの新規顧客獲得を月15件」などの最終ゴールを設定し、それを実現するために必要な目標値を算出していきます。
たとえば、現在月間訪問者数が3,000に対して新規顧客獲得が5件の場合、目標を達成するためには月間訪問者数9,000が必要であると推定できます。具体的な数値目標を設定し、施策の方向性を定めましょう。
ステップ2:ペルソナの設定
ペルソナとは自社のターゲットの中で最も象徴的な人物モデルのことです。コンテンツマーケティングは、ターゲットを理解することがとても大切です。ターゲットによって、情報発信手段やコンテンツの内容、配信メディアなども変わってきますので、初めにペルソナを設定することで、ユーザー視点を明確にしましょう。
「30代男性」「40代〜50代の女性」といった幅のあるターゲット設定ではなく、職業や年齢、家族構成といった細かい情報まで踏み込んで具体化することで、担当者間の認識共有もスムーズになります。
ステップ3:コンセプトの設定
目標とターゲットが決まったら、コンセプトを設定します。ターゲットはどんな情報を求めているのか、どんな内容であれば関心を持つかを意識し、テーマや企画タイトルを詰めていきます。この時もユーザー視点を忘れずに意識しましょう。
企業が発信するコンテンツは、企業自体のブランディングにもつながってきます。そのため「自社がユーザーにとってどんな存在でありたいか」という視点も持ちながら、コンテンツの内容を設定しましょう。
ステップ4:手法と顧客獲得方法(コンバージョン)の設定
上記でもご紹介した通り、コンテンツマーケティングの手法は多岐にわたります。ターゲットやテーマを決めた上でコンテンツを提供する手法を決め、最終的な顧客獲得方法までの道筋を立てましょう。
最終的な目標を達成するためには、問い合わせフォームや購入カートへの導線をわかりやすく設定することが重要です。
ステップ5:コンテンツの制作・配信
方針が決まったら実際のコンテンツ制作をスタートします。ユーザー視点を意識して「専門性」「信頼性」を兼ね備えた良質なコンテンツを作成しましょう。
ステップ6:効果測定・改善
コンテンツを配信した後は、必ず反響を確認しましょう。効果測定を行う際には、WebサイトであればPV数(閲覧数)やサイト内回遊率、メールマガジンであれば開封率やクリック数といった数値データを元に、改善点を見つけます。客観的なデータを元に分析することで、より効果的なフィードバックを行うことができるでしょう。
コンテンツマーケティングの成功事例
最後にコンテンツマーケティングに成功している企業の事例を紹介します。いずれもターゲットと自社の強みをすり合わせた魅力的な内容になっています。
サッポロビール株式会社
引用元:サッポロビール株式会社
ビールや発泡酒、ワインといった幅広い酒類でおなじみのサッポロビール株式会社。テレビCMやYouTubeなど魅力的な動画コンテンツで度々話題を生んでいます。
なかでも俳優・妻夫木聡さんが魅力ある大人に会いにいくCM「大人エレベーター」は長年シリーズ化している名作。ターゲットに合ったゲストを招き、ファンの輪を広げています。細部まで作り込まれた世界観で、企業イメージの確立にもつながっています。
サイボウズ株式会社
引用元:サイボウズ式
サイボウズ式は、グループウェアの開発・運用などを手がけているサイボウズ株式会社が運営しているメディアです。「新しい価値を生み出すチームのメディア」をコンセプトに、さまざまな視点から働き方や会社、組織にまつわる記事を提供しています。
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株式会社セールスフォース・ジャパン
引用元:salesforceブログ
こちらは、クラウドアプリケーションやクラウドプラットフォームを提供しているセールスフォース・ジャパンが運営するオウンドメディア「salesforceブログ」。
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株式会社シーズンズ
こちらは合宿免許のエージェントである株式会社シーズンズが運営する「コープ・生協合宿免許」のコラムページ。充実したコラムは、カテゴリーごとに検索できる仕様になっているので、知りたい情報をすぐに見つけることができます。
合宿免許に関するテーマだけでなく自動車免許や試験にまつわる一般的な内容まで幅広いテーマを取り上げている点は、まさにコンテンツマーケティングのお手本といえるでしょう。
まとめ|コンテンツマーケティングで顧客との関係性を深めよう
今回は、BtoB・BtoCどちらにも有効なコンテンツマーケティングについて詳しくお届けしました。「モノ消費」から「コト消費」、「イミ消費」へとユーザーの価値観が変化している今、商品単体の魅力だけでなく、それを検討・購入・運用していくフェーズにおいても、価値ある体験が求められています。
ユーザーに価値ある情報を提供するコンテンツマーケティングに取り組むことで、潜在層を見込み顧客へ、既存顧客を企業・サービスのファンへと育て、ビジネスの良い循環を生み出していきましょう。
ただし、ただ闇雲にコンテンツを制作すればいいというわけではありません。ユーザーが自然と集まり、最終的な目標達成を見込めるコンテンツを制作するためには、正しいマーケティングの知識と分析が欠かせません。
私たちドコドアは、これまでに1,600社以上のホームページ制作・コンサルティングを手掛けてきたWebマーケティングカンパニーです。これまでに培ってきたWebマーケティングの知識やSEO対策のノウハウを活用し、最適なプランを提案いたします。お気軽にご相談ください。
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ドコドア 編集部
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